米国の会計年度は、10月から始まる。先月末、与野党が拮抗する議会両院で新年度予算が成立せず、あわや政府閉鎖かというところまでバイデン政権は追い詰められた。本予算成立までのつなぎ予算案も再三否決され、まさにギリギリのタイミングで最後のつなぎ予算案が成立(*1)して、最悪の事態は免れた。
ただ、保守強硬派を宥和するためにウクライナ支援はつなぎ予算に盛り込まれず、本予算成立まで、米国のウクライナ支援は現状確保している分しか執行できない。F16戦闘機のパイロット訓練(まずは英語研修だそうだ)などにも支障が出そうだ。
米国の議会権限は日本のそれより大きく、行政府をマヒさせることもできる。前回は、政府債務上限を定めた法律の改正をさせないとして、野党が抵抗した。これは米国民主主義が、憲法や議会でもって強力な権限を持つ行政府をマネージするように設計されているからだ。
日本より対GDP比でずっと少ない政府債務だし米ドルは世界最大の基軸通貨なのに、債務上限をマネージして政府閉鎖までちらつかせられるのは、米国憲法がMMT理論など信じていない証拠である。そして無駄な政府支出を許さないとする、保守強硬派の姿勢には厳しさを感じる。そのやり方の全てを支持するものではないが・・・。
少なくともこの厳しさを、日本政府も国会も見習うべきだと私は思う。現在(選挙をにらんでだろうか?)補正予算の議論が進んでいるが、どうしても規模の話になってしまい内容は緩みがちだ。
以前別ブログで紹介した書「税金下げろ、規制をなくせ」(*2)では、政府の無駄遣いに乗じて利権をむさぼる「利権連合」を追求していた。市民が物価高騰などで苦しんでいるなら、増税して再配分するよりは減税すべきだ。税金を収納して配分する過程でコストもかかるし、利権も絡みやすい(*3)。
他国のふり見て、我が国直せ。選挙目当ての放漫財政など、許してはいけないと思う。
*1:米政府閉鎖を回避、上院も期限直前につなぎ予算可決-大統領署名 - Bloomberg
*2:Leave Us Alone Coalition - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
*3:税率変更の社会コストを無視すれば、15兆円の経済対策より消費減税5%の方が実効性(真水部分)があるだろう。