これまで何度か、デジタル(&AI)に関してフェイクを流すことがあると注意を喚起してきた(*1)。これまでのメディアとは桁違いの速度で、情報が生成・加工・拡散されてしまい、社会に大きな影響を与えるからだ。その拡散力は、例えば「#増税メガネ」がトレンド入りしたことで、岸田総理がご立腹、極めて迅速に「減税」を打ち出したことでもわかる。
ただ改めて考えてみると、これまでのメディア(&世論)が真実だけを伝えてきたのではないことに思い当たる。歴史だって書き換えられてきたのだ。先日家内と京都旅行に行き、室町時代のいくつもの遺産を目にした。華やかな時代だったはずだが、私たちは知識が少ない。その原因は、徳川光圀の「大日本史」にあるという。徳川家、特に光圀公は南朝びいき。「大日本史」では北朝である室町幕府を軽んじる編集をさせたようだ。
今のメディアでも、米国の有力既存メディアはユダヤ系の資本や人材が入っていて、米国世論を形成している。だから米国政府は(共和党でも民主党でも)イスラエルをサポートすることになる。しかしデジタル系の新メディアは、イスラエルべったりの報道はしない。だからその読者の多い若い層には、パレスチナ寄りの意見を持つ人も増えているのだ。
もうひとつ、歴史の改ざんや世論の統制に長けた中国でも、こんな事件があった。
生成AIが毛沢東批判文 端末企業の株暴落―中国:時事ドットコム (jiji.com)
生成AIの主張はごくもっともだと思うのだが、現政権にとっては困ったことだろう。「デジタルは嘘をつくかもしれないので、鵜呑みにしないリテラシーを身に付けましょう」というのは正論。しかし、デジタルだけを悪者にせず「メディアリテラシーを身に付けましょう」というのが、もっと正しい指針である。