巨大IT企業の代表格は、俗に「GAFAM」と呼ばれている。私も彼らとは種々の交流をしてきて、今でもお世話になることが多い。ただこの中で全く付き合いのないのが、旧フェイスブック、現メタ・プラットフォームズである。理由は私のビジネス経験がBtoB型に限られていて、フェイスブックのビジネスを勉強したことも、逆にお役に立てることも無かったからだ。
もちろん世界的に影響力の大きい企業で、メタバース市場の開拓やフェイスブック事業だけでなく、インスタグラムも持っている。FTCが起こしたVR企業買収差し止め訴訟にも勝った。この3ヵ月の業績も上昇傾向にある。ただ、このところ2つの試練に悩まされているようだ。
ひとつは、若者に対し有害なコンテンツを提供して利益を上げているとの訴訟が、多くの州(*1)の司法長官から突き付けられたこと。
メタをカリフォルニア含む30余りの州が提訴、若者に有害と主張 - Bloomberg
未成年者が長時間ネット利用をすることで健康被害が出るとの内部調査をしたのに、その結果を公表しなかったというのが訴訟の核心だと伝えられる。すでに多くの訴訟を抱えている状態で、さらに難題を突き付けられた格好だ。
もうひとつは、収益源である広告の魅力が下がっていること。広告はエージェンシーに買ってもらってナンボのビジネスだが、この記事にあるようにその価値が減衰している。例えば、かつて8割のエージェンシーがフェイスブックの広告を買っていたが、今は5割だとある。
メタのプラットフォーム、投資にもう値しないと見るエージェンシー【DIGIDAYリサーチ】 | Business Insider Japan
米国人は、人生のうち21年間をネットを見て過ごすとの統計(*2)がある。人生を80年とみれば、睡眠時間も母数に含めて約25%の時間をネットに使うわけだ。特に若いころにそのような時間の使い方をすると、将来大きな障害になるかもしれない。個人だけでなく、社会全体に悪影響をもたらすと当局は考えたのだろう。これらの訴訟とメタの行方、しばらく注視する必要がありそうだ。
*1:最終的には40州余り
*2:ちなみに韓国人は34年間、日本人は11年間