ある会合で、Fortinet-JapanとALAXALAネットワークスの幹部とお会いした。Fortinetは、世界最大手の統合脅威管理(UTM)の製造販売メーカである。激化するサイバー攻撃の大半はネットワーク経由だから、ネットワークセキュリティの最大手ということで、サイバーセキュリティ業界では欠くことのできない企業だ。
日本では100%子会社のFortinet-Japan合同会社が、製品やソリューションの販売を手掛けていて、多くの企業ユーザや販路も持っている。私はまったく知らなかったのだが、ゴルフ競技のスポンサーとしても有名らしい。「サイバーセキュリティは経営課題ですよ、DX with Securityと考えDXで儲けるためにはセキュリティをちゃんとしましょう」と説いて回るのが私の仕事だから、ご一緒するのは珍しいことではない。
一方ALAXALAは、私がかつて勤めていた日立とお付き合いの深いNECのルータやスイッチを開発・製造する部門が合弁した企業。知り合いも何人か所属している。今回驚いたのは、ALAXALAがFortinetの100%子会社になったと紹介されたこと。
21世紀になってエレクトロニクス機器の業界では、日本企業同士の合弁が盛んになり、
2004年 ALAXALAネットワークス
2009年 エルピーダメモリ
2010年 ルネサスエレクトロニクス
などが設立されていた。例えばエルピーダメモリは<産業活力再生特別措置法>の適用第一号で、公的資金の注入を受け「国策DRAM会社」と呼ばれていた。ルネサスエレクトロニクスにも産業革新機構の支援が与えられている。正式には「国策会社」ではないが、その傾向がある合弁「日の丸」企業たちである。
いずれも「日本にこの産業が必要だから」と考える政策の結果だったと思う。ALAXALAネットワークスへの公的支援はなかったとのことだが、かの企業が外資系傘下になったことに驚いたのである。私は、ビジネスはグローバルが当然だから、資本も含めて国籍(*1)には拘らない。加えて、
そのDRAMは何に使われるのか? - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)
で紹介した湯之上氏の発言のように「国策会社」の課題も理解しているつもりだ。今再び半導体の国産化政策が進んでいるが、こういう事例があったことも鑑みて、産業政策の議論を深めたいと思う。
*1:無論特定の国、ビジネス常識が通じにくい国の場合は留意する