梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

借金ブレーキと財政健全化主張の政党

 「減税」と総理は言うが、市民は「いつメガトン級の増税が来るか」と戦々恐々である。財政健全化はもちろん必要なのだが、無駄遣いの削減が増税より先なのは言うまでもない。なのに「COVID-19」禍で急増した基金が、16.6兆円も積み残されていることが分かった。不要不急の資金なら、せめてその半分でも国債償還に使って欲しいと思うのは私だけではないだろう。

 

 処は変わってロシアを挟んで反対側の国ドイツ、こちらも基金でひと騒動やっている。似ているのは「COVID-19」対策で積んだ基金であることだが、それを使おうとして(一部は使ってしまったのに)待ったがかかった点は異なる。

 

 先月憲法裁判所が2021年の補正予算憲法違反と判断し、当該基金を「気候とトランスフォーメーション対策」に転用したことを取り消したのだ。今年度の気候等の対策に使うはずだった600億ユーロは、画餅と化した。

 

        

 

独ショルツ政権の気候政策に赤信号:憲法裁判所の衝撃判決 | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp)

 

 ショルツ政権は、複数の主張の異なる政党の連立で、特に気候変動対策に前のめりな緑の党にとっては一大事、連立瓦解の危機にある。メルケル時代から政権に厳しい川口マーン恵美さんの意見だから、多少割り引いて考える必要はあるだろうが、困った事態なのは間違いがない。

 

 ただ私としては、羨ましいなと思ったことが2点ある。

 

1)基本法に、国も州(*1)も歳入を上回る歳出を原則禁止とあること。また新規借り入れはGDPの0.35%以内とする借金ブレーキ法があること

 

2)連立政権の中に(財務相として)自由党党首がいること。同党の主張は財政健全化であること

 

 川口さんは、同党の信用が失われると書いているが、そもそも日本には「増税なし、債務超過なし」を主張する政党がない。維新の会がそうだと思っていたのだが、大阪万博の超過予算の関係か最近は声が小さい。ドイツよりGDP比の国家債務の多い日本、是非にも欲しい「借金ブレーキと財政健全化を主張する政党」である。

 

*1:ドイツも連邦国家、16の州が事実上の国で、国というのは連邦のこと