昨年10月のハマスによる奇襲攻撃に、国連機関UNRWAの職員12名ほどが協力していたとの報道があった。すでに疑惑の領域ではなく、UNRWA自身が9名の容疑者(の犯行)を特定し解雇し、「1名はすでに死亡、残る容疑者を内偵中」と発表している。
UNRWAはガザ地区とヨルダン川西岸地区に限らず、500万人ともいわれるパレスチナ難民全体の支援をしている機関。これなくしては、ほとんどのパレスチナ難民は生存が危ぶまれるほどのミッションを負っている。その資金は国連加盟国からの拠出に頼っているのだが、今回の事件で日本を含む大口支援国10ヵ国以上が資金拠出を停止している。このままでは大惨事になると、国連のグテーレス事務総長は資金拠出の再開を求めるのだが、その見通しは立たない(*1)。
日本、国連パレスチナ難民救済事業機関への資金拠出停止 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
調べてみるとUNRWAの職員数は約29,000人、そのうち99%は現地採用(*2)・・・つまりパレスチナ人なのだ。国連職員ではあるが、イスラエルに虐げられる人という意味では、一般のパレスチナ難民やハマス構成員と同じである。現に今回容疑がかかった12人は、ハマスとイスラム聖戦の構成員だったとする報道もある。
結局、国連を含む先進国中心の国際社会は、UNRWA誕生の1949年以降、パレスチナ問題に対してカネだけ出して「問題にフタをしてきた」ことになる。「国境なき医師団」などの例を除けば、やはりパレスチナは先進国から「見捨てられていた」と言っても過言ではなさそうだ。
イスラエル軍の地上侵攻に先立つ空爆が盛んに行われていたころ、国連職員の犠牲者が100名を越えたとの報道があった。私も衝撃を受けたのだが、実態は「パレスチナ人犠牲者の中に100名を越えるUNRWAの現地採用職員がいた」ということだ。
国連組織にすら疑惑の目が向けられるようになり、パレスチナ難民にとっての最後の希望の火が消えようとしている。
*1:国連への資金援助と思っていたら、ハマスの軍備に利用されていた・・・では困る