先の週末、4年半ぶりになる日中韓三ヵ国による首脳会談があった。この間に、出席する首脳すべてが入れ替わっている。そしていずれの国も、大きな社会課題を抱えている。
・不動産高騰
・格差拡大
などで、国民の不満が高まっているという共通問題だ。基本的にはすべて経済問題で、成長が鈍化した経済のパイをどう切り分けるかで各国政府は悩んでいる。いずれにせよ特効薬はなく、漢方薬のようにじんわり効く処方としては、経済のパイ全体を大きくすること。それには三ヵ国で小異についていがみ合うのではなく、協力して大同に就くべきである。
日中韓、4年半ぶり首脳会談 FTA交渉加速化へ議論継続 共同宣言:朝日新聞デジタル (asahi.com)
だからこそ、この記事に言う自由貿易(FTA)交渉が望ましいのだ。それも今後より経済的影響力を増す、デジタルデータの流通自由化が・・・。
日韓の間で政治問題化しかねない「LINE株式」の件などは、大したことではない。やはり中国の、
・デジタル天安門施策
・国家情報法による情報取得
・ソースコード強制開示規定
・サイバー空間での国家主権主張
などデータ流通に関する法規や主張は、大きな障害である。今週紹介したCBPR(*1)についても、中国は加盟すらしていない。中国も入ったRCEPでは、TPPやDEPAよりグレードを下げたデータ流通規定が盛り込まれているが、それも履行しているようには見えない。
日中韓三ヵ国でデジタル経済を伸ばしていきたいなら、やはりFTAの中でデータ流通の規定をはっきりさせるべきだ。基本は自由流通だが、個人情報保護を含む安全措置は必要だ。私の提案としては、
・各国(&企業・団体)は機密とされるデータを区分して流通させない
・流通させたデータについては、各国(&企業・団体)は利用法について明示する
・第三者機関を設置してこれらの点を適宜監視し、各国はその活動を妨げず協力する
の3点だ。この議論が「日中韓デジタル三国志」の最初の1ページになることを期待したい。