今日は米国の独立記念日だ。2日前に、在日米国商工会(ACCJ)の独立記念日パーティに参加して、久しぶりに在日米国企業の人たちと話し合うことができた。付き合いの深いデジタル産業は、基本的に民主党支持だ。先日のバイデン対トランプの公開討論会をどう思うかと聞くと、おおむね顔を曇らせた。
「国境を渡るデータの自由」を盛り込んだTPPをトランプ大統領にひっくりかえされたのは、私たちのトラウマである。開かれた国境(含むサイバー空間)は、グローバル企業にとって一番重要なこと。しかしトランプ政権はこれを否定する。いまだに20世紀型の製造業中心の経済しか理解していないように見える。
加えてトランプ2.0(二期目の意味です)では、一期目で抵抗勢力だった官僚機構を「改革」すると豪語している。政治任用の範囲を4,000人から5万人に広げるとも伝えられる(*1)。
肌感覚だが、日本の官僚機構に当てはめれば、霞ヶ関の課長・課長補佐クラスまで自分の意向を忖度する要員(多分献金者)に挿げ替えるということになる。陰謀論を信じている人たちがそんなポストを占めてしまったら、米国の政治はどうなってしまうのか?
もちろん、5万人もの高級官僚を一朝一夕に育成できるはずもない。第一次トランプ政権の時以上に、多くのポストが空席になって行政が停滞してしまいかねない。暗澹たる気持ちでいたら、こんなニュースが飛び込んできた。
蠟でできたリンカーン大統領の座像が、この度の異常高温で溶けてしまったという。もともと永続するものではないとのことだが、想定を越えた早い消滅らしい。リンカーン大統領も米国の民主主義の崩壊を見て、さっさと消えてしまったのかもしれない。英仏の総選挙の結果も含めて、今年が「民主主義が溶け落ちた年」と歴史に刻まれなければいいと祈るだけである。