梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

Global & Digital Native のCEOに期待する

 「DX with Cybersecurity」は経営者の仕事だと常々申し上げている。経団連がサイバーセキュリティの会合を設置して10年余になるが、その間同じことをずっと言い続けて(*1)いる。その理由は、まだまだ日本のCEOは、DXやサイバーセキュリティを経営課題としてとらえていない傾向があるからだ。今でも日本の経営者の中には、

 

・これらは技術課題、CIO/CISOを置いたので彼らに任せている

・私自身は(文系出身で)ITには昏い

 

 と平気で仰る方がいる。NYSEに上場している(米国)企業のCEOがこんなことを口走れば、翌日には株価が急落し、やがて退任に追い込まれるのが見えているというのに・・・。ただ、この傾向も(遅ればせながら)改善するかもしれないと思わせる報道があった。それは、

 

    

 

世代交代進む日本のCEO、ガバナンスに新風-株主との距離にも変化 - Bloomberg

 

 日本企業(TOPIX500)のCEO平均年齢は62.5歳、

 

66~71歳 17%

61~65歳 37%

56~60歳 21%

51~55歳 8%

 

 という。期待は若い層、特に55歳以下のCEOにかかる。55歳だと社会人になったのは、バブル崩壊後である。就職氷河期だったかもしれないが、Global & Digital の面からは、それが当たり前(Native)の世代である。

 

 PCそのものは1981年(IBM-PC)からあるが、広く普及したのはインターネット・エクスプローラIE)とWindows95がリリースされた1995年だ。日本企業が単なる輸出ではなく、国境を越えて活動し英米流の株主資本主義(*2)を取り入れていった。

 

 それ以前の企業体質を、先輩から聞くことはあっても、体験していない世代のCEOにいろいろな意味で期待ができると考える次第である。

 

*1:経団連:経団連サイバーセキュリティ経営宣言 2.0 (2022-10-11) (keidanren.or.jp)

*2:それまでは、企業は従業員みんなのもの、CEOは従業員の象徴で名誉職だった