米国事情に詳しい人に、米国政治状況の現状分析を聞く機会があった。「もしトラ」とか「ほぼトラ」という状況の中で、今後どうなっていくのか、我々はその事態にどう備えるべきかを考える貴重な機会である。
今年の大統領選挙もそうだが、前々回2016年の選挙でも、米国の分断は目立った。表面上は異色の候補トランプ氏が、比較的貧しい白人層に分かりやすい言葉で支持を訴えたことだが、その背景には彼らの不満と不安が充満していたことがある。初の黒人大統領オバマ政権が2期続き、移民が増え最貧困層の救済策が充実して、自分たちが取り残されたと感じていたわけだ。
共和党がトランプ候補となり、民主党はヒラリー候補となったが、ヒラリーは白人ではあるが富裕層の代表であり庶民の人気は全くなかった。次の2020年選挙では、共和党内がトランプと反トランプに分かれたが、民主党も中道(バイデン)と左派(サンダース)に割れ、バイデンはやむなく左派へも配慮した政権運営をする羽目になった。
バイデン政権の今の「煮え切らなさ」の根源はここにあり、今ウクライナ支援を含む予算案が通らないのは、共和党が移民に厳しい施策とセットにしたことが直接原因。これは民主党左派は絶対飲めないことだからだ。
「NATO諸国を守らない」との発言含めて、米国外にも問題をまき散らしている今年の選挙だが、バイデン対トランプになるだろう決戦投票の見通しは五分五分だと識者は言う。
・トランプ候補が(重要な裁判で)有罪となれば、ややバイデン有利
・そうでなければ、ややトランプ有利
なのだそうだ。トランプ候補の課題としては、多くの訴訟で罰金・賠償金を求められるので、資金ショートを起こしかねないこと。それでも「もしトラ」になったら、我々はどうすべきか?
・予測不能な政権になるので、振り回されることは仕方ない
・ディールとしてトランプ氏(ないし支持者)が有利になることなら突破口はある
ということだと、識者の話を聞いて思った。どんなディールが(日本産業界として)可能なのか、今のうちに考えておくべきだろう。