梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

政界・官界・産業界

QUADでの次世代インフラ論(後編)

ローカル5Gは、工場内のような閉じた場で、教育・訓練・シミュレーション等に役立つことは分かっている。しかし広域5Gはどうなのだろうか、私は高速道路や主要道路での自動運転が一番近いキラーアプリケーションだと思っているが、確信はまだない。昨今の…

QUADでの次世代インフラ論(前編)

この日はいつ雨が降りだすか分からない空模様の下、六本木のグランド・ハイアットにやってきた。ほんの1週間前に、知り合いの米国法律事務所の人から、イベントの案内があったからだ。それは「Fourth QUAD Open RAN Forum」という会合。主催は、Open RAN Po…

スパイ防止法はなくても

米国のトランプ前大統領が、37の罪状で起訴され、その全てを否認したと伝えられる。TOP Secret(最高機密)に区分される文書も持ち出していて、これはスパイ防止法違反にあたるだろう。一方日本では、 ・スパイ防止法がないのは問題 ・各国の諜報機関がピク…

給与も時価会計に

少子化対策として3兆円台半ば/年というが、その財源論がかまびすしい。行政改革(何らかの支給の削減)はいいとして、1兆円ほどの不足分をどうするか、 ・社会保険料増 ・つなぎ国債 ・増税 など、様々な議論が出ている。子ども手当や教育無償化では不十…

雇用流動性と経済成長

今週のNHK「日曜討論」で、各政党の政策責任者が集まって、少子化対策とその財源などについて議論してくれた。私が注目したのは、経済成長が止まって特に若い世代の収入が増えていないことが少子化に拍車をかけているし、教育費の負担が重いのではというテー…

セキュリティクリアランス制度の論点

今週政府の有識者会議は<セキュリティクリアランス(SC)制度>の創設に向けた論点の骨子案を公表した。現在公務員については「特定秘密保護法」が適用され、重要機密漏洩等について、罰則が科せられる。しかし重要機密を民間と共有しているケースもあり、…

特許権の域外適用

先週に引き続き、デジタル裁判の結果をもうひとつ。今度は国内の結果である。動画配信サービス「ニコニコ動画」を運営するドワンゴが、動画にコメントを流す特許を侵害されたとして米国FC2らを相手取って起こした控訴審が、一審判断を覆してドワンゴ勝訴とな…

そのDRAMは何に使われるのか?

G7広島サミットの関連でだろう、米国マイクロンテクノロジーの広島新工場に日本政府から2,000億円が支援されることになった。米国のエマニュエル大使は、 「中国の威圧に対抗する先例となる」 と賛辞を送っている。そこで何が製造されるかというと、DRAMであ…

「DFFT」4文字のどこに軸足が

先月末のG7デジタル相会合で議論になったことに、DFFT(Data Free Flows with Trust)がある。産業界はずっと「国境を越えるデータの確保」を求めて来て、それをTPPに入れ込む努力をしたことを、以前紹介した。 TPP第14章に込めた思い - 梶浦敏範【公式】ブ…

機密情報を守るための制度

米国の機密情報が漏洩し、ソーシャルメディアなどで公開されるという事件があった。中国や中東に関する情報のほか、ウクライナ紛争を巡る国家安全保障に関する情報も含まれていたとして、米国内外に波紋が広がっている。 ・”Five Eyes”の国オーストラリアで…

中央行政の内部文書管理

放送法を巡る安倍政権での圧力問題は、知らないうちにうやむやに。総務省から内部文書を入手して火をつけた立憲民主小西議員が、「サル発言」で追及されて不思議な終わり方をした。渦中の人だった高市大臣は、一身に火の粉を浴びて予算案審議を援護(?)し…