AusCERTの全日程を終了し、私たちは次の目的地に向かった。日豪対話の会合で極めて大きな役割を果たしてくれた、Queensland大学(UQ)のキャンパスを訪問するのだ。ゴールドコーストからブリズベンまでは、高速道路で1時間強。出迎えてくれたのは、日豪対話の中心となった教授。彼のチームの本拠地で、どんな研究開発・人材育成をしているのか、直接見せてもらえる。
UQ Cyber - University of Queensland
彼のチームは、サンタルチアキャンパスにある真新しい建物の一角に<UQ Cyber>というエリアを設け、
・学部生から複数の過程の大学院生の教育
・戦略的実践研究、戦術的実践研究、ソフトウェアの評価、ハードウェアの評価
・政府や企業とのコラボレーションによる特別なプロジェクト
を実施している。今回は、
1)Energy TestLab 4.0
2)Device Testing Lab
3)Agile Security Operation Centre
を見せてもらった。CO2削減は大学全体で取組むテーマで、この組織では1)で電力システムの防御を研究している。欧州企業とのコラボで、従来型の発電システムに風力、太陽光発電システムを加えた模擬プラントを構築して、これを攻撃したり防御したりするのだ。分野としては<IoTセキュリティ>に当たるが、まだ研究者の層は厚くない。
2)はIoT機器も含む、多くの種類のハードウェアの評価をしている。脆弱性評価が中心だろう。外部からの電波を遮断する「電波暗室」も備えていた。見せてもらっての印象は、本当に実践的な研究ができているな、社会として役立つ人材を育てる環境が素晴らしいなというものだった。
オーストラリアの大学はキャンパスが広いのが特徴で、地震もほぼないため古式ゆかしい建物も多い。のびのびできるキャンパスは、学生にも教授陣にも素晴らしいプレゼントだと思った。企業や政府からの資金援助あってのことだろうが、このような実践研究は、もっと多くの教育機関で備えるべきだと痛感した。