先週自民党役員人事と内閣改造があったが、大きな枠組みは変わらなかった。デジタル担当の河野大臣は留任。デジタル行革大臣も兼務することになり、マイナンバー騒動などの収拾に引き続きあたってもらうことになる。ある総務大臣経験者によると「とにかく今は、河野大臣に頑張って欲しい」とのことだった。
これまで経産省・総務省が並走してきたデジタル政策は、新しくデジタル庁が加わってトロイカ体制になっている。先日台湾出張時、公式ディナーの場でMODAの幹部から「デジタル庁の役割は何か」と聞かれた。やはり海外からも、日本の行政機構は見えにくいのだ。私のシンプルな答えは、
「中央行政と自治体、関連団体のDX推進」
である。相手は「なるほど産業育成などは担当じゃないのだな」と納得していた。
今、注目されているマイナンバーカードについても、基本的な用途は中央行政・自治体・関係団体のDXのためのツールである。市民のIdentityをデジタル技術で確立することで、行政等の業務DXを推進するのである。
Identityがマイナンバー(&カード)だとすると、Infrastructureはガバメントクラウドということになる。これまでデジタル庁の示すクラウド要件300をクリアできるのは外資系企業に限られていたが、1社で全部クリアできなくても企業連合で300要件を満たせばいいとの緩和が成って、国産クラウドにも道が拓かれた。
政府クラウド、国内企業参入後押し 公募開始、さくらネットが意欲:時事ドットコム (jiji.com)
それはいいのだが、実際にガバメントクラウドがどのくらい利用されているのかとのデータが見当たらない。ほぼ1年前にクラウド要件(*1)が示されているから、そろそろ利用実績が出て来てもいいと思うのに・・・。
クラウド要件とそれに合致したサービスの紹介というのは、あくまで供給側のデータ。自治体などが実際にDXを企画し、ガバメントクラウドを使おうと思った時、どこかの自治体がやってみて、どんな苦労をしてどんな成果を得たかを知りたがるはず。需要側のデータがないと、なかなか企画自身も進めにくいのだ。
<続く>