これは英国の元首相ウィンストン・チャーチルの言葉である。この後「これまで試みられてきた全ての政治体制を除けばだが」と続く。皮肉屋のチャーチルが、逆説的に民主主義を礼賛したととらえることもできるが、もっと直接的に「やはり民主主義って困ったものだ」との理解もできる。
「民主主義・資本主義・自由と人権・法の支配」などを掲げる西側の盟主である米国が、また政治の暗闘に巻き込まれようとしている今、ロシアはともかくとして中国の「あんな民主主義ならいらない。中国には中国の民主主義がある」との主張が、妙に説得力を持って聞こえてくる。
まだ次期大統領選までは1年以上、次期大統領就任はさ来年のことになるというのに、二大政党の最有力候補者に信じがたい事態が起きてしまった。
まず共和党で支持率トップなのが、前大統領のトランプ候補。すでに4つの事件で訴追を受けており、全て有罪となると「懲役700年」の実刑を受けかねないと言われている。それでも「政治的意図を持った魔女狩りだ」と叫べば、逆に支持率が上がるという不思議。
さらに共和党のマッカーシー下院議長が、民主党現職のバイデン大統領を弾劾調査の対象とすると発表した。
米下院議長、バイデン氏の弾劾調査を指示 「証拠が示す方向に向かう」|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
以前から噂のあった大統領の次男ハンター氏の、中国がらみの金銭問題(*1)である。今回「証拠」が出てきたとばかり、共和党陣営は勢いづいている。しかし、単なる(トランプ訴追への)意趣返しのように見えなくもない。
この記事にあるように本当に弾劾に進んでしまう可能性は高くないが、共和党が10月からの予算執行を人質に取って、弾劾を強攻するとの見方もある。共和党の中には市民の「ウクライナ支援疲れ」に乗って、支援打ち切りを言い出している議員もいる。米国内の事情でウクライナ支援が滞れば、ロシアにとっては願ったりかなったりである。
世界は、経済的危機にあるという中国と、政治的に危機にある米国の両大国の行方を、かたずをのんで見守っている。
*1:とりあえず銃器不法所持で拘束されているが、別件逮捕か?