中東情勢が一気に緊張した。1週間前のハマスのロケット攻撃に始まり、イスラエル軍のガザを空爆。ハマスは外国人を含む100名以上の人質を取り「空爆すれば人質を殺す」と脅迫した。米国が直ちに「イスラエルと共にある」と宣言したのは当然として、英仏独(アラブ系移民も多い)が、パレスチナ擁護のデモを禁止するなどイスラエル寄りの姿勢を示した。自国民を人質にされたのも影響しているだろう。
イスラエルは予備役30万人を招集、軍に参加するために海外から帰国するイスラエル人も多い。4次に渡った中東戦争以来の危機との認識らしい。ハマスが籠るガザ地区をイスラエルが包囲し、水やエネルギーの供給も断った。220万人を人質にしたようなものだ。
ここで気になるのは、今回のハマスの奇襲(*1)がなぜ成功したかということ。世界最高レベルのインテリジェンス能力を持つ諜報機関があり、SIGINT大国米国の支援も得られていたはずなのに、攻撃の兆候を察知できなかったのは理解できない。
米国には、ロシアに亡命したスノーデン氏が暴露した<Prism>というデジタル諜報システムがある。当局は認めていないが、それを怖れて、ロシアは2年前に、中国は今年<iPhone>の公務員利用を禁じている。加えて「モサド」のHUMINT能力があれば、このような奇襲を受けるはずはないのだが・・・。仮説としては、
1)最近大人しいハマスに、すっかり油断していた
2)ハマスとその背後にいる支援者が、上記諜報網を搔い潜る能力を身に付けた
3)察知はしていたが、具体的な対処法(先制攻撃や退避命令)が出来なかった
4)内政に問題を抱えるネタニヤフ政権が、意図的に攻撃情報を握りつぶした
くらいだろうか?英国の有識者は「米国は強すぎるゆえの油断がある」と言っていた。しかし、イスラエルもそうだろうか?2)だと一大事、ひょっとすると4)?これも少し時間を置けば、ヒントが得られるかもしれない。
*1:3,000~5,000発のロケット弾が撃ち込まれ、多くは<アイアンドーム>で防いだものの、初日だけで100名以上の犠牲者を出した。イスラエルにとっての<9・11>とも言われる。