「もしもトランプが返り咲いたら」が議論されているが、「いまもうすでにトランプの影響が政策に出てくる」になっているとも伝えられる。その影響とは、例えばウクライナ支援と対移民強硬策を抱き合わせにした予算案にトランプ候補が反対していることから、共和党議員がこれに同調するという話だ。仮に返り咲き大統領就任となるとしても、まだ1年も先のことなのに・・・。
先月ブルームバーグが「もしトラ」の政策予想(*1)を発表している。
・貿易と投資 関税+10%
・中国 最恵国待遇の撤回や、さらなる関税増
・移民 大規模な移民制限措置
・財政政策 減税等は外国での(軍事)活動を削減するなどして実施
〇規制緩和 1つの規制導入には2つの規制廃止を条件に
・気候 パリ協定からの脱退など変動対策を転換
〇FRB 強力な利下げ圧力
・エネルギー 石油・天然ガス増産、EV・クリーンエネルギー補助廃止
「ヒト・モノ・カネ&情報」の国境を越える自由な流通を求める私たちは、もちろん彼を支持できないのだが、この内容は困ったものばかりとは言えない。特に〇を付けた項目は、経済人の目から見てもうなずけるものである。
ただ、トランプ大統領の行動が予測不能なことは確実に問題だ。世界各国や経済界は、準備の余裕が与えられないこともあるからだ。例えば10%関税増について、クルーグマン教授が「10%は米国経済に大きな(悪)影響はない。ただ、もっと高くないと貿易赤字解消にやならない」と発言(*2)するや、「対中国関税は60%か、もっとだ!」と反応(*3)している。
予測不可能というべきか、世論に敏感に反応しているというべきか?仮にトランプ候補が大統領選に敗れたとしても、少なくとも1年近くは「いまトラ」言説に世界経済は降り回されることになりそうだ。
*1:新トランプノミクス、米大統領に返り咲いた場合に予想される政策一覧 - Bloomberg