梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

ブレるバイデン大統領の危うさ

 「もしトラ」や「いまトラ」という現象に、世界は息を呑んで行方を見守っている。最大の問題はトランプ候補の予測不能性であって、世界秩序や常識の崩壊すら思わせる。そんな候補がなぜ強いのかと考えると、結局現職バイデン大統領が弱いからだということに行きつく。

 

 民主党というより自分の支持層の種々の意見に配慮するあまり、激動する国際・国内事情に対処することが中途半端である。例えばイスラエルのネタニヤフ政権の強硬姿勢には、当初は米国なユダヤロビーに配慮して擁護したのはいいとして、ガザへの地上侵攻以降(*1)はもっと抑制的になるべきだった。

 

 今月になって、ようやくネタニヤフ首相と決別方向だが、国際的な支持を失ってしまった。これでは、

 

    

 

プーチンウクライナ占領地区で、ワグネルを使って残虐行為をした

・バイデンもパレスチナで、イスラエルを使って残虐行為をさせている

 

 と対比されてもしかたあるまい。今回、自ら公用デバイスでの利用禁止をした、中国にデータ漏洩の可能性があるアプリ「TikTok」で、自分のアカウントを開設してしまった。若年層への政策(もしくは自己)アピールが目的のようだが、動画の内容を見る限り「人気取り」以上の目的ではなさそうだ。

 

 自らのアピールは、対中国安全保障の対象外とでもいいたいのだろうか?欧米政界で最も嫌われる言葉が「ダブルスタンダード」と言う人もいるが、バイデン大統領の言動は、あきらかに「ダブルスタンダード」である。

 

 ABCテレビ世論調査では、86%の人がバイデン大統領が2期目を務められない(*2)とする結果が出た。一時期期待されたカマラ・ハリス副大統領の影も薄く、民主党も人材難が際立っている。もちろん、すでにトランプ党との揶揄される共和党も、人材豊富とはとても言えないのだが。

 

*1:ヨルダン川西岸地区での動きを含めて、これらはどう見ても戦争犯罪

*2:最後(86歳)まで務め上げられないという意味で、再選されないという意味ではない