「もしトラ」や「いまトラ」という現象に、世界は息を呑んで行方を見守っている。最大の問題はトランプ候補の予測不能性であって、世界秩序や常識の崩壊すら思わせる。そんな候補がなぜ強いのかと考えると、結局現職バイデン大統領が弱いからだということに行きつく。
民主党というより自分の支持層の種々の意見に配慮するあまり、激動する国際・国内事情に対処することが中途半端である。例えばイスラエルのネタニヤフ政権の強硬姿勢には、当初は米国なユダヤロビーに配慮して擁護したのはいいとして、ガザへの地上侵攻以降(*1)はもっと抑制的になるべきだった。
今月になって、ようやくネタニヤフ首相と決別方向だが、国際的な支持を失ってしまった。これでは、
・プーチンがウクライナ占領地区で、ワグネルを使って残虐行為をした
・バイデンもパレスチナで、イスラエルを使って残虐行為をさせている
と対比されてもしかたあるまい。今回、自ら公用デバイスでの利用禁止をした、中国にデータ漏洩の可能性があるアプリ「TikTok」で、自分のアカウントを開設してしまった。若年層への政策(もしくは自己)アピールが目的のようだが、動画の内容を見る限り「人気取り」以上の目的ではなさそうだ。
自らのアピールは、対中国安全保障の対象外とでもいいたいのだろうか?欧米政界で最も嫌われる言葉が「ダブルスタンダード」と言う人もいるが、バイデン大統領の言動は、あきらかに「ダブルスタンダード」である。
ABCテレビの世論調査では、86%の人がバイデン大統領が2期目を務められない(*2)とする結果が出た。一時期期待されたカマラ・ハリス副大統領の影も薄く、民主党も人材難が際立っている。もちろん、すでにトランプ党との揶揄される共和党も、人材豊富とはとても言えないのだが。
*1:ヨルダン川西岸地区での動きを含めて、これらはどう見ても戦争犯罪
*2:最後(86歳)まで務め上げられないという意味で、再選されないという意味ではない