自民党の裏金問題が「政治とカネ」論議に火をつけ、予算委員会では政倫審・連座制・政策活動費などなど国会議員周りのQ&Aがほとんどの時間を占めている。どれも自民党としては呑みづらいことで、岸田総理らの回答は歯切れが悪い。「こんなことは早く政倫審に任せて予算審議をしたいのだ」という野党の意見は、ごく真っ当だ。
予算審議で重要なのは「子育て増税問題」。少子化対策で3.6兆円が必要とされ、
1)既定予算の活用 1.5兆円
2)子供・子育て支援金制度導入 1.0兆円
3)歳出改革 1.1兆円
で賄うという政府案(*1)。今、2)の支援金制度について、議論が沸騰している。政府はこれを増税ではなく、社会保険料増で予算確保を目指している。試算では、保険者1人あたり月額500円弱とのことだが、いくつか疑問点がある。
・シンクタンク試算では、1世帯当たり1,300円/月超の負担
・同額を企業側も負担するので、企業の賃上げ気運に水を差し、非正規化を後押し
・そもそも、日本の社会保険料負担増加ペースは非常に速い
要するに若者たちをより貧困に導き、少子化に拍車をかける愚策だというわけ。
3)の歳出改革は、もっとひどいレトリック。歳出削減するのではなく、高齢者の介護保険料を負担増とすることで賄うというのだ。確かに改革といえば、削減とは限らない。総理は実質国民負担はないというが、2)も3)も国民負担増ではないか!
ところが財務省出身の識者によると「いずれにせよ国民負担(増)です」ということ。仮に歳出削減を介護保険に適用すると、介護市場が縮小される。これは医療市場も同じ。介護・医療の従事者にとっては、収入減(≒負担増)になるからだ。
なるほど、私などは「官から民へ」「より小さな政府」をずっと主張してきて、そうすれば国民負担が減ると思い込んでいた(*2)。これは政府に依存している人から、自立している人に富を移すというだけで、どちらも国民なのだから「パイの切り方を変えるだけ」なのだと気づいた。じゃあどうすればいいかというと、パイを大きくするしかない。やはり経済成長、生産性の向上・・・ということである。
*1:少子化対策財源、支援金の負担は1人平均「月500円弱」 首相答弁 [少子化を考える]:朝日新聞デジタル (asahi.com)