梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

AI候補者も出てきてしまい・・・

 東京都知事選が告示されて、先の東京15区衆議院議員補選以上のひどい戦いが予想される。N国党は24名もの候補者を擁立、1.4万箇所のポスターに自由なものを貼る権利を販売しているという。33.6億枚のポスターは、どうなってしまうのだろうか?例えばQRコードを印刷して、自らの政権構想をWebサイトで示し、そこに誘導することも十分に考えられる。

 

 他にもAIの活用として、アバターを立てる候補者もいるだろう。現職の小池知事も「AIゆりこ」を登場させている。その「事前運動」に目くじらを立てる人もいるが、有力対抗馬の蓮舫元議員だって、立派に事前運動もどきをしている。

 

        

 

 いまは各国で選挙ブームだが、英国では単なるアバターではなく、れっきとしたAI候補者まで現れた。名前を「AI Steve」といい、白髪に立派な眉毛の好人物である。

 

英選挙戦に出馬している人工知能の候補者「AIスティーブ」って何者? | クーリエ・ジャポン (courrier.jp)

 

 スティーブ・エンダコットという実業家が作り出したAIだが「ゆりこ」と違うのは、候補者はあくまでAIであり、エンダコット氏はその代理人という位置づけ。もし当選した場合には、エンダコット氏が議会に入るのだが、政策などは有権者と会話したAIが決めて、氏はそれを代理執行するだけだ。

 

 都知事候補安野候補が言う(*1)ように「GitHubに政策提言」だと、(デジタルに詳しくない)有権者は参画が難しいかもしれない。しかし「AI Steve」は24時間有権者に向き合い、意見を聞いて政策を考えることができる。AIの決定は当然公開されるし、エンダコット氏はそれをかざして議会に殴り込む・・・という次第。

 

 この他、米国では市長選挙に出馬した人物が、当選したらAI(チャットボット)に執務させる(*2)として、話題を集めている。政治というのはアナログではあるが、民意を汲むなら多くのデータ処理が必要。どういう形であるにせよ、AI活用は理にかなっていると思うのだが。

 

*1:本当の「政治改革」はここから? - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)

*2:チャットボットは選挙に“立候補”できるのか? 米国の市長選に名乗りを上げたAI(の開発者)が波紋 | WIRED.jp