国レベルの政府・行政機関の役割として重要なのは、社会福祉政策でも産業政策でもない。まずは防衛・外交・収税・通貨である。このうち収税以外の3項目は、直接票につながらないので、政治家には重要視されないという問題がある。ただ税金に関しては、有権者はかなりセンシティブ。だから票の獲得のために、税制が論じられることは多い。
例えば米国民主党左派のウォーレン上院議員は、資産5,000万ドル以上の人に毎年2~3%の資産課税をする法案を(再度)提出した。社会主義者であり、ある種のポピュリストだと思う。
中道派であるバイデン大統領も、選挙を意識してか新税を検討するとブチ上げた。それは暗号資産課税強化。暗号資産の移転(取引)には、マイニングという作業が必要で、マイナーと呼ばれる業者がこれを行っている。ブロックチェーンに記録するのだが、これには大量の電力が必要だ。そこで、マイニングに使った電力料金に新しい税金を上乗せしよう(*1)というわけ。
暗号資産取引で利益を得れば応分の課税は仕方ないが、儲からなくても課税されてはたまらないと、課税の前面に立つであろう暗号資産業界が、議員の調査を始めたとの報道(*2)があった。理解をしてくれそうな議員を選び出し、ロビーイングを仕掛けるのだ。もちろん、政治献金も飛ぶだろう。
選挙が近い議員は、新しい支援者を得る機会でもある。調査に積極的に回答している議員も少なくなさそうだ。
デジタルロビーイングの歴史に学ぶ - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)
で紹介したような、テック企業のデジタルロビーイングが、またひとつ熱を帯びてきそうである。
*1:バイデン政権がビットコインに「課税強化」案、業界から猛反発 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)