昨年7月、岸田内閣は「国土強靭化基本計画」をUPDATEし、これを閣議決定した。自然災害への対応、環境問題等への配慮に加えて、新しい脅威として国際情勢の緊張・パンデミック・気候変動なども考慮した内容となっている。これまでの基本方針3項目、
1)国民の生命・財産を守る防災インフラ(*1)の整備や管理
2)経済発展の基盤となる、通信・交通・エネルギーなどライフラインの強靭化
3)災害時における事業継続性確保を始めとした官民連携
に新しく、
4)デジタル等新技術活用による、国土強靭化施策の高度化
5)地域における防災力の一層の強化
が加わったのだ。岸田内閣の目玉施策の一つ「デジタル田園都市構想」に沿って、国土強靭化施策も新規2方針で予算獲得を図ったものだろう。
それから1年近くがたち、元旦には能登半島地震もあった。今回、震災対応も含めて国土強靭化がどう変わろうとしているか、何人かの有識者と一緒に国交省の説明を聞く機会があった。
国交省はデータの宝庫である。長年にわたって取り組んで来た、データプラットフォームは21システムが連動、254万種のデータ(*2)が収められるまでになった。これを利用し、スーパーコンピュータや衛星画像、ドローン、AI分析なども加えて、災害の予測から現状把握、復旧の効率化を進めることが出来そうだ。能登半島地震では、
・山がちな地形で、主要道路の寸断、岸壁の隆起などあり救援の困難さ
・浄水場の被災など上水道の途絶のような、インフラの被害が大きかった
という課題があったが、配備・訓練も済んでいた装備が役に立ったという。ウクライナ等の戦場でも活躍したドローンは、災害対応でも活躍した。ただし、被害情報・被災者情報の共有は十分ではなく、必要とされるところに支援が届かないとの非難もあびている。
<続く>
*1:河川・ダム、砂防・治山等
*2:地図・地形、気象、構造物、交通、防災分野のデータ