マグネチュード7.7とは、かなり大きな地震だった。震源地は台湾島東部のすぐ沿岸、花蓮県では12人ほどの犠牲者が出たという。年初の能登半島地震もマグネチュード7.6だったから、ほぼ同じ規模。しかし能登半島地震で245名もの犠牲者が出たのに比べると、人的被害は少なかった。
能登半島地震が2つの地震が連発したこと、大規模な火災を引き起こしたことのほか、やはり台湾の建物の耐震対策が進んでいたことがこの差を生んだものと思われる。また、花蓮県ではそれほど人口稠密なところは多くなかったからだろう。この写真は昨年の台湾出張で見かけた、台北市の古い住宅が集まる松山エリアである。ここが震源に近かったら、もっと多くの犠牲者が出たように思う。ちなみに付き合いの深い台湾の工業技術研究院(*1)の人たちからは、無事だとの知らせが来てほっとしている。
ライフラインが寸断され孤立した人もいて、建物に閉じ込められた人も含めてレスキュー部隊が活動しているニュース映像が日々流れている。なかなか統制の効いた、立派な活動だと思って見ていて、これは重要なOSINT/IMINT情報かもしれないと気付いた。
ないことを祈っているがもし台湾有事があった場合、地震に似た被害が市街地にも起きる。まともなレスキューができないガザ地区はともかく、ウクライナでは消防などの活動が市民を救い、ロシアの攻撃目標(*2)にもなっている。
今回の台湾地震のニュース映像は、オープン情報だし豊富な内容を含んでいる。レスキュー部隊の指揮統制、装備、行動パターンなど、より効率的な「攻撃」を行うためには、貴重な情報である。そんな情報がいつ必要になるかに関係なく、かの国の情報機関・分析官は、ニュース映像をビデオに録り繰り返し観ているだろう。ひょっとすると、AIに分析させているかも。そして<TikTok>などにUPされた映像や音声も、同様に分析の対象になるだろう。
「だからどうすべき」という提案もできないのだが、映像がいっぱいある時代の平時の情報戦を想起させるニュース映像だった。
*1:台日サプライチェーン協力会議 - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)
*2:時間差をつけて2発ミサイル等を撃ちこむのは、1発目の被害者救助に来るレスキュー部隊を2発目が狙う手口