新しい技術が開発され、実用化され、普及していく過程においてはいくつものハードルがある。リソースの規模として、私の実感は、
・基礎的な技術を固め、なんとか利用できそうなものを完成させる開発 1
・使ってもらって不具合がないように、安全措置などを施す実用化 9
・コスト削減や社会に容認されるための種々施策や広報宣伝による普及 90
くらいの比率が必要と思っている。例えば自動運転という技術・アプリケーションだが、すでに実用化の半ばまでは来ていると思う。しかし社会全体に受容されるには、まだまだいくつものステップがいる。今回、それにあたる特徴的な事件があった。
自動運転タクシー、群衆が破壊 事故続発受け安全に懸念―米:時事ドットコム (jiji.com)
確かに自動運転タクシーでは事故が起きていて、GM傘下の「GMクルーズ」はカリフォルニア州での運行停止を命じられている。同社は米国内4都市で事業展開をしていて、2026年からは日本でも実証事業を行う予定だった。
ただ今回の事件は、事故でもないのに車両が襲撃されたという悪質なもの。運営していたのはアルファベット傘下の「ウェイモ」で、群衆が取り囲んで破壊したうえで花火を投げ込んで燃やしたとある。旧正月を祝っていた人たちの仕業というから、中国系の群衆だったと思う。なぜ起きたか、
・自動運転の危険性や雇用減少のもととなるアプリケーションへの不安
・テクノロジーに感じる脅威、また巨大ITグループに対する不満
のような理由が一般的だろう。まずは運営側企業に、自動運転タクシーの安全性を再検討し、対策をほどこしたならそれを広く衆知して理解を求める努力をお願いしたい。一方で、市民の側も冷静になって当該技術・アプリケーションの社会的メリットを理解しようと努力してほしい。
本件に限らず、カリフォルニア州では「打ち壊し」のような暴動も多いと聞く。それだけ治安が悪いからタクシーへの放火も起きたといえるのだが、うがって考えると中国系市民の不満がたまっていたのだろう。