年末に「日本学術会議の在り方をめぐる有識者懇談会」が最終報告を出した。同会議は年間10億円の税金を受け取るだけでなく、文科省予算4兆円/年に影響力を持ち、科研費2,300億円の行方を決める日本学術振興会と深い関係(コインの裏表)にある。それでいて「共産党の牙城」とあだ名された不思議な組織(*1)である。
報告書の主なポイントは、
1)活動目的・内容の明確化
2)活動を国民に説明する仕組み
3)会員選考の客観性や透明性の確保
4)活動財源の在り方
だった。国の特別な機関から法人化して、通常の法人と同様の透明性(2および3)を持たせること。活動財源としては現在と同様の措置を採ること(4)が盛り込まれている。
もっとも重要なのは、この組織の役割(1)で、
「学術の知見を活用して社会課題の解決に寄与する」
と明記されている。パンデミックや福島第一原発処理水問題などに同会議は対応できなかったから、改めて掲げたと記事にある。
ただ現在の構成員(200余名)の多くが法科・政治関係で、電気・電子系研究者は彼らに比べて100倍以上なりにくいという。これでは(医療や原子力などの)科学的課題に対応できなくて当たり前だ。今後構成員を最大350人まで増やすともあるが、増やさなくても文理の比率を変えれば良い。今後の社会課題の解決を目指すなら、
・デジタル系30%(情報通信・セキュリティ・AI)
・国土関連技術20%(建築・土木・原子力)
・経済系15%
・医療系15%
・法科、政治系10%
・メカトロニクス系5%
・その他5%
くらいの比率が妥当ではないか。すると法科・政治系の構成員が大量にクビになる。既得権益にしがみつくだろうから、一朝一夕にはできないにしても、一歩ずつ改革を進めていってもらいたい。
*2:日本学術会議、法人化でどうなる? 「国益に資さない団体に税金」政府配慮、自民に不満も(産経新聞) - Yahoo!ニュース