梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

企業でのインテリジェンス活用

 昨年末「民間発でもインテリジェンスはある。衛星画像などの公開情報に、専門家が分析を加えたもの。1週間後に起きることをそれなりの精度で予測できる」と紹介(*1)した。するとサイバーセキュリティの実務に携わっている人たちから、

 

・脅威インテリジェンスは、さるところから買っているが活用が難しい

・これについては、今後政府が機密保護付きで出してくれても同様ではないか?

・例えば「ソルト・タイフーン(*2)が来る」と言われても、どうすればいいのか?

 

 との声が聴かれた。また企業経営者のスタッフからは「仮に38度線で紛争が起きると告げられても、何をすればいいのか分からない」とも言われた。知るのは(知らないより)いいはずだが、それでどうすれば・・・ということ。

 

「酒飲んで寝ていよ」となるかも

 極東で紛争が起きるなら、個人や一企業では如何ともしがたいので、

 

・家族とどこかに逃げる

・株の空売りでもしようか

・運を天に任せて酒でも飲むか

 

 となってしまいかねない。そんなネガティブな議論があった後、あるサイバーセキュリティの専門家が、いい意見を言ってくれた。

 

・高度なサイバー攻撃者として「APT××*3」が伝えられたのは、18年前のこと

・国家レベルの攻撃力があって、容易に対処できないが存在は見えてきた

・その後長い期間の研究で、いくつかの傾向がわかり対処法も編み出されている

・相手も進化するのでイタチごっこだが、進化についてのインテリジェンスも貴重

 

 確かにインテリジェンスが完全無欠だったことは、おそらく歴史上ない。いわゆる「戦場の霧」の中にあって、指揮官は手持ちのインテリジェンスを基に決断をしてきている(*4)。普通の企業経営にも、この考え方や戦史は役に立つし、以前にもまして重要になってきたと思われる。

 

*1:予兆を知る民間インテリジェンス - 梶浦敏範【公式】ブログ

*2:中国系のハッカー集団、複数のISPに侵入して大規模に盗聴していたとされる

*3:APT攻撃 - Wikipedia

*4:実戦教本パズルブック(後編) - 新城彰の本棚