梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

仮設住宅よりずっといい!

 もうじき8か月になるというのに、能登半島地震への県や政府の対応が遅いと非難の声が高まっている。被害の象徴である輪島市の7階建てのビルも、未だに道路に倒れたまま。倒壊原因の調査と解体促進の協議が始まった(*1)そうだが、やはり遅いとの印象はぬぐえない。

 

 地震直後から「遠くない将来に消滅するかもしれない地域を、本当に復旧するのか」の疑問は聞こえてきた。今月、財務省財政制度等審議会が「人口減少局面ゆえ、集約的なまちづくり」を提案、無駄な財政支出は避けたいとのスタンスを示した。これに「棄民思想だ!」と怒りの声を上げている人たちもいる(*2)。

 

    

 

 お怒りはわかるけれど、仮に災害がなくてもコンパクトな街づくりは何十年前から議論されていたこと。「被災地だからコンパクトシティなどタブーだ」とおっしゃっているわけでもあるまい。ただ未だに避難所暮らしの人もいるということで、住居の整備は必要だ。仮説住居など3Dプリンタで製造して配置できないかと思っていたら、こんなテック企業がいることが分かった。

 

6日間で建つ3Dプリンター住宅が家を失った人の光に…被災地・能登にモデルハウス 50㎡の家が550万円:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

 

 仮設住宅は災害救助法により、1戸あたり561万円と価格が定められていて、着工・完成から2年間貸与されるものである。この技術を使えば、期限付きの仮設住宅より安く、本格的な住居が得られる。コンパクトな街づくりのレイアウトで、本格住宅を仮設住宅より安く、早く提供する。これなら財務省にも怒れる人たちにも、お勧めできると思う。

 

*1:能登半島地震 横倒しになった7階建てビル “輪切り”で解体へ 石川・輪島市|ニフティニュース (nifty.com)

*2:「過疎地の復興はムダ」「移住を考えよ」…財務省財政審が能登半島地震の被災者に言い放つ「許しがたい棄民思想」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース