インド・パキスタン・中国に接するカシミール地方は、3国が実効支配をするエリアに分割されていて、以前から紛争が絶えなかった。いわば「中央ユーラシアの火薬庫」である。2019年にもインド・パキスタン両軍が激突したが、きっかけはイスラム教徒のインド軍に対する自爆テロだった。
先月22日、誰の仕業かは不明だが観光客を狙った乱射事件があり、インド人25人、ネパール人1人が犠牲になった。インド側はパキスタンに支援されたテロリストの仕業として、報復の姿勢を見せた。その後両国間の緊張が高まっていたが、ついに昨日インド軍によって火ぶたが切られた。
インド、パキスタンの「テロリストのインフラ」を攻撃 3人死亡 | ロイター
パキスタン軍も即座に反撃、未確認情報だがインド軍戦闘機を撃墜したともいう。東欧や中東の紛争で、国際社会が抑止能力を失っていることが証明されてしまい、局地戦(*1)が方々で起きても収束しない。

この紛争が恐ろしいのは、両国とも核兵器を保有していること。ロシアは核大国だがウクライナに核はない。イスラエルには核兵器があるが、パレスチナはもちろんその後ろ盾のイランも、核開発を制約されているレベルだ。だから保有国側が核を使う公算は、あまり大きくない。しかしカシミールで闘い始めた両軍は違う。相手も持っていることが抑止力になるのか背中を押すことになるかは微妙で、何かのはずみで戦術核くらいは飛び交うかもしれない。
世界の外交・軍事の専門家は、核の使用に至る「War Politics」のプロセスに注目してこの紛争を見守るだろう。核兵器以外にも、東欧・中東に続いて3つ目の<ドローンやAI兵器の実験場>としても注目されよう。例えばインド軍の兵器の主体はロシア製。イスラエルからの導入を図るなどロシア製からの脱却を図っているが、その意味でも消耗品として使い捨て、新装備の実験も行いたい。
もう1国、隣接する中国も両国の作戦・戦術展開を注目しているだろう。海洋進出著しい中国だが、本質的には陸軍国。自国陸軍の作戦・戦術が時代遅れになっていないかの検証をするはずだ。米国に頼り切れなくなった日本としても、情報収集は欠かせないだろう。