別ブログで紹介しているように、ある業界団体の視察ツアーに参加することになった(*1)。訪問国はシンガポールとベトナムである。両国ともデジタル政策には熱心で、企業も研究機関も政府支援を受けて活発に動いている。特にシンガポールは、港湾の自動化(*2)を議論した時にモデルとなった国だ。
最初に訪問したのは、島の北東部プングル地区に建設中の「Punngle Digital District:PDD」である。開発したのはJTC(*3)、政府系の不動産会社である。海峡の向こうはマレーシアというこの地区に、産官学共同のデジタル研究拠点を作っている。まずシンガポール工業大学(SIT)が移ってきて、11,000名以上の学生が学んでいる。

政府のサイバーセキュリティ拠点も移ってきたし、電子政府(Gov. Tech)銀行などの金融機関(Fin. Tech)も来る。マイクログリッドなどエネルギー関連でも最先端の取り組みをし、以下の5つのテーマを研究の中心に据えているという。
・サイバーセキュリティ
・AI
・マンマシンインタフェース
・ヘルスケア
興味深かったのは、基礎研究ではなく応用(&実用化)研究に特化していること。もちろん基礎研究は重要だが、それを社会に活かすためにはいくつもの壁を乗り越えなくてはならない。「イノベーションを起こすのは、技術ではなくてニーズだ」というのが私の持論(*4)だが、ここではその考えで研究拠点全体が運営されている。
とかく研究者は論文の数で評価されがちだが、そうなると論文にできないテーマは誰も取り組まなくなってしまう。PDDではどれだけ実用化でき、その社会的意義があるかがKPIで、論文数は評価対象ではない。詳しくは聞けなかったが、種々の機密を扱う研究もこの考え方ならやろうという研究者が出てくる。
<続く>
*1:初めてのフルパック海外ツアー - Cyber NINJA、只今参上
*2:港に浮きたくはなくて・・・ - Cyber NINJA、只今参上
*3:Home | JTC