5G普及に向けた議論は、もう10年以上している。最初にこの技術を紹介された時に指摘したこと「4Gではダメな、広域でのアプリを見つけるべき」は、未だに達成されていない。3Gでは今のようなビデオ会議が難しいのは明らかで、広域4Gは無くなるとみんな困る。じゃあ、広域5Gが無くなって誰か困るかというと、はっきりしていない。キラーアプリ登場までは、ローカル5Gで実績を積むしかないねと関係者と話し合っていた。
工場内のAR/VRなどは順調に利用が増えている。しかし広域となると、昨年聞いた「タワークレーンの遠隔操作*1」くらいしかぴったりしたアプリは見当たらない。これにしても現場効果は抜群だが、市場規模は決して大きくない。
5Gで先行している中国でも事情は同じ。中国工程院のメンバーが「広域5Gが普及しないので、5.5G開発に期待」と言ったのには驚いた(*2)。

ところが今回、こんな記事を見つけた。
5Gネットワークでロボット兵士やドローンなどを多数接続、制御するという話。すわ広域5Gキラーアプリかとも思ったのだが、よく読むと「これは巨大エリアながらローカル5Gだ」と気付いた。
軍隊というのは基本的に自己完結、他のインフラに頼ることは避けるように考える。だから商用5Gのないエリアでも<無人軍隊>が戦える(*3)ように、戦場に5Gインフラを設定することから始めるようだ。であれば<無人軍隊>に襲われた側としては、移動力・火力・装甲等に優れる端末と戦うのではなく、神経たる5Gインフラを切断・妨害して無力化する対抗策が採れる。
かつて米軍が歩兵の小銃の弾倉にある実包の数まで、IoT機器と5Gネットワークで集めるという話(*4)もあった。これもその手のお話かと・・・。興味深いのだが、すぐ戦場に登場するわけではないようである。
*2:官製アプリではイノベーションは無理 - 梶浦敏範【公式】ブログ
*3:5Gエリアを一歩踏み出したら、ロボット兵士が動かなくなるのでは笑い話