今年1月、埼玉県八潮市で下水道管破裂に起因する道路陥没事故があり、トラック運転手1名が亡くなっている。被害は広範囲にわたり、約120万人が下水道使用自粛を求められた。国交省では有識者を集め「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」を立ち上げ、すでに第二次提言まで公表し、現在第三次提言の準備中である。
今回、私もかつて国交省の技術部会委員だったことから、この委員会のヒアリング会に呼ばれた。地方で既存のインフラの改修に手が回っていない実態を聞き、現場が何に困っているのかを知りたいという委員会の意志であり、私にはデジタル系新技術の活用に関するアドバイスが求められた。

会合はメディアも入らない秘密会なので、ここで詳細を延べることはできない。ただ、八潮市の事故はどこでも起きうると感じさせるのに十分な報告があった。
・20世紀に列島の隅々まで伸びたインフラが、耐用年数とされる50年を迎えている
・20世紀末からの「行革」で自治体の新規採用が減り、技術職員が高齢化している
までは良く知られた話だが、
・補修予算はそれなりに維持できているが、問題はそれを上回るペースで増加
・市民からの苦情受付に職員が縛り付けられ、現場に出る工数を確保できない
・「デジタル田園都市構想」などの支援で導入されたシステムも広域化していない
・一部地域では下水道を維持できないので、浄化槽に切り替えつつある
・下水道管の腐食が著しいところを見つけながら、予算不足で放置せざるを得ない
などと切実な声が聴かれた。委員のひとりは、
「道路管理者も下水道管理者も、データは持っているが相互利用できていない」
とコメントした。私からは、地方自治体で共通する問題は中央行政から直接支援するべきだとして、
1)苦情受付などは生成AIを利用したシステム開発をして、全国に供与
2)実績あるシステムは県などで導入し、各自治体にSaaS形式で供与
3)道路&下水道管理者のデータは標準化が難しければ、AI-Agentを介して共有するような技術開発をして、これも全国に供与
することを提案した。この問題はとても根が深く「今そこにある危機」であるので、またレポートしたい。