梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

経済安全保障経営ガイドライン

 経済産業省は、今年になって「経済安全保障経営ガイドライン第一版*1」を公表した。岸田内閣のころから経済安全保障という言葉が聞こえてきたのだが、企業人には中味が分からない。2021年には、

 

経済安全保障の意味(前編) - Cyber NINJA、只今参上

 

 のような議論。法制度が議論される2022年になって、

 

「Economic Statecraft」って?(後編) - Cyber NINJA、只今参上

 

 という言葉が出てきた。経済による国家運営の在り方を問うものらしい。そして今回具体的に企業はどうすればいいのかというガイドラインが示された。基本は「経営者が何をすべきか」を記したものでチェックリストが付いている。

 

        

 

 まず経営者に、当然のことではあるが3点求めている。

 

・自社のビジネスを把握し、リスクシナリオを策定する

・経済安全保障への対応を(コストでなく)投資と考える

・マルチステークホルダーと(広範に)対話する

 

 そして実施することも3点。

 

1)自律性を確保する

 全体最適なサプライチェーン戦略を立案、自律性確保のための体制整備、ステークホルダーとの対話

 ⇒ コア事業を定めてその事業継続計画を立てる。その実行のために取引先を含めて一部機能停止した場合などに備えた二重化などを行っておくことと思われる。

 

2)不可欠性を確保する

 コア技術等を護り、育ててゆく中長期的な経営戦略を立案、その実現のための組織体制・風土の構築、技術等が流出した場合の対応

 ⇒ 自社の競争力を確保し維持するために、コア技術等を磨くだけでなく流出を防ぐことや流出後の措置、されに将来の転換計画も立てておく

 

3)経済安全保障におけるガバナンス強化

 関連情報の収集、リスク及び機会の特定・分析・評価、リスク対応策の検討・実行・モニタリング、組織体制の構築

 ⇒ 通常の自然災害や故障、事故だけでなく、悪意ある者から自社を護ることも含めた組織体制を整備し運用する

 

 記載されていることに異論はないのだが、全企業・全事業にこれを当てはめるのは不可能であろう。コア事業・コア技術を絞り込むのも経営者の責務ということである。

 

*1:20260123004-1r.pdf