国家が国家を侵略するシナリオの議論をした(*1)後、電力・水道・放送・通信・交通・軍事以外に、何が狙われるだろうか考えてみた。最近起きたのが<令和の米騒動>。政府備蓄米の放出を求める声もあった。経済安全保障の議論の中で、食料安保はどうかとの意見があったが、農水省の人は「備蓄米が十分あり、主食については問題ありません」と回答していた。でも、やはり上記のインフラに続いて、食料の確保がどうかというのは一つの懸念材料。
備蓄米はあるというものの、政府が進めてきた減反政策もあって米の国内生産量は減り続けている。農家としては、今の補助金の是非はともかく、将来が見通せない状況(*2)にある。
目を海外に転じてみると、ロシアのウクライナ侵攻や中東・紅海での緊張によって、穀物の流通が減少している。特にロシアは、穀物を「兵器」として使いかねないスタンスである。その上、先月のBRICS首脳会議では<穀物版OPEC>の創設が議論された(*3)とも伝えられる。
おもな目的としては、ロシアの穀物販売価格の安定(吊り上げ?)とされているが、穀物の兵器化という視点からはロシアに制裁をかけている国への圧力とも考えられる。ではどの国に?G7各国のカロリーベース食料自給率を見てみると、
カナダ 250%
米国 130%
フランス 120%
ドイツ 80%
イタリア 60%
英国 60%
なのに比べ、日本は40%を切っている。もし<穀物版OPEC>が国家に、経済を越えて安全保障的に圧力をかけるつもりがあるなら、その対象は日本ということになる。加えて台湾有事が起きれば、台湾海峡の海上輸送は極めて困難になる。今後も写真のような食事(ちょっと炭水化物過多かな?)ができるように、政府に真剣な検討と政策実現をお願いしたい。