梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

「DeepSeek」2つの衝撃

 昨日トランプ大統領が「暗号通貨とAIで世界一」と宣言したことを紹介したが、さっそく習主席からの(間接的な)メッセージがあった。すでに昨年から、米国のAI企業の追いつこうとするいくつかの中国発AIベンチャーの動静は伝えられていた(*1)。

 

 先週DeepSeek社が発表した「R1」モデルは、OpenAI社の最新モデル「o1」に匹敵する性能を持ち、後者が利用にあたって有料なのに対し無料であり、その他のコストも安く抑えられているのが特徴。そもそも、MITライセンス下でオープンソースとして提供されるのだ。

 

ASCII.jp:ChatGPT超えの中国AI「DeepSeek-R1」の衝撃

 

 この結果今週のNASDAQ市場は大幅下落し、NVIDIAの例では約90兆円の時価総額が吹き飛んだという。

 

春節の「ご祝儀」?

 確かに衝撃だったが、一つには市場が「AIバブル」状態にあったことが分かったこと。確かにAI開発にはカネが必要、カネが集まればバブルが生じやすいのは当然である。今後はAIについてもコスパの議論が盛んになるだろう。

 

 もう一つは、これでまた「西側」から中国へのデータが流れてしまう懸念材料が増えてしまったこと。すでに<TikTok>や<Temu>に代表される中国アプリでこの危惧はあるのだが、よりビジネスに近いデータの流出が懸念されるのだ。

 

 恐らくトランプ政権は、このアプリの利用を禁じてくると思う(*2)のだが、その前に嫌がらせをした可能性もある。

 

中国AIアプリ「ディープシーク」にサイバー攻撃、新規登録を制限|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

 むろん誰がやったかは分からないが「出る杭は打たれる」という次第。高性能高価格の米国サービスに対し、同等性能安価だけどちょっぴり心配な中国サービスという構図は変わらず、決着には長い時間がかかるだろう。

 

*1:中国のAI企業・DeepSeekがGPT-4oに匹敵するAIモデル「DeepSeek-V3」をリリース、パラメーター数は脅威の6710億個 - GIGAZINE

*2:データ流出懸念と国内産業保護