梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

行政×デジタル(Powerd by AI)推進

 デジタル庁が設置されて、この9月で丸4年になる。それまで総務省経産省内閣官房IT総合戦略本部が担ってきたデジタル政策推進部署に、新しい組織が加わったことで「屋上屋ではないか」との批判もあった。額面上の設置目的は「デジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房とともに助け、その行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ること」である。典型的な<霞ヶ関文学>だが、その管掌範囲は内閣&行政事務に限られているので、総務省の通信政策や経産省のデジタル産業育成や民間でのDXとは一線を画していることが分かる。

 

 石の上にも3年というが、デジタル庁の成果もそろそろ見えてきた。直近では、戸籍等の電子化のネックだった人名漢字の標準化を行ったこと(*1)が挙げられる。今月には「法令」×「デジタル」の取組の概要(*2)が公表されている。これにより、

 

        

 

・法令データのベースレジストリ確立

・法案作成や審査業務の効率化

・(民間でも)新たな産業、サービスの創出

 

 が期待される。データが整えば利活用が促進されるが、当然AI利用によってそれが加速する。そこで今回デジタル庁は、「デジタル重点計画」に行政機関向けAI基盤の開発を盛り込んだ。その内容は、

 

・行政で用いる生成AI基盤「仮称:ガバメントAI」を構築

・利活用指針に基づき各府省にAI統括責任者(CAIO)を置く

・政府、自治体、民間企業の協業でAIサービスを開発

・法人や不動産などのデータベース化、政府統計などのデータ整備

・データセンターの地方への分散を加速

 

 である。「ガバメントAI」は、中央行政だけでなく地方自治体でも使えるから、議事録要約や文書草案作り、24時間行政相談や外国語での対応も容易になる。人手不足に悩む自治体には、大きな助力になるだろう。そんな<すぐそこにある未来>を、先週開催されたイベントで、平大臣や松尾教授は語った。

 

「AI×行政」で平行革相がキーパーソンと対談 ツール実装の機運醸成へ意欲 | 電波新聞デジタル

 

 行政業務はち密で多様だし、100%手落ちがないように求められる。まだ、現時点では「ガバメントAI」は実験段階。これから現場でもまれて使えるようになるには時間もかかるが、希望は見せてくれたイベントだった。

 

*1:標準化が難しかった人名漢字 - 梶浦敏範【公式】ブログ

*2:「法令」×「デジタル」の取組