梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

21世紀のハイテク公害かも

 一時期「静脈産業」という言葉が、メディアを賑わした。工業社会が発展し、次々に新しい製品が出てきて以前の物が捨てられる、人口も増え都市は過密化し消費するものもまた増える。不要な「ゴミ」を扱う業界が手薄だと、市民の生活環境も悪くなるし、地球環境にも良くない。

 

 そこでリサイクルに関する意識が高まり、希少金属などは「都市鉱山」と呼称して回収するようになった。この流れは、遅れているとされた日本でもかなり定着してきていると思う。「動脈産業」の方が飛躍的に伸びているが、その多くはデジタル系ハイテクなので、資源を守れ環境に優しい(*1)方向だと考えられていた。ところが、ハイテクには特有のかなり危険な廃棄物がでることも顕著になってきた。例えばリチウム電池である(*2)。

 

 

 

    

 

 身の回りの多くの機器がリチウム電池を使うことで、軽く、使いやすくなった。しかし衝撃を受けたり寿命が来て、発火するケースが多発し航空機の運航などに支障が出てきた。リサイクルを強化するよう政府が指導し、業界が努力を始めている。今後(すでに炎上例が多い)EV車の安全対策も、社会問題化するだろう。

 

 まだどの程度の問題かは不明だが、ウクライナの地では野鳥が細い光ファイバで巣をつくっているらしい。電波妨害が効かない有線ドローンを、両軍が多用した結果である。もっと危険だなと感じたのは、この記事。

 

わずか半年で500近いスターリンク衛星が燃焼、有害物質の影響に科学者らが警鐘 - CNET Japan

 

 スターリンク衛星の寿命が5年なので、仮に計画通り12,000基滞空させるとすると、年間2,400基は落ちてくることになる。燃え尽きるのだが、成層圏などに粒子デブリを残すことになり、地球環境に及ぼす影響についてはまだ分からない。

 

 いわば21世紀の「ハイテク公害」、新しい「静脈産業」が求められるだろう。当然この産業もハイテクのひとつとしてカウントすべきだし・・・。

 

*1:例えば紙資料を印刷せず画面上で見たり、オンライン会議で移動距離を減らしたりするから

*2:モバイルバッテリー・携帯・加熱たばこ、リサイクル回収義務化へ…相次ぐリチウム電池火災で対策強化 : 読売新聞