日本経済が「失われた30年」にある原因として、多くの要因が語られている。
・正解あることしか教えない教育の不備
・ゲゼルシャフトから抜け出せない企業組織
・冒険しなくなった無策の経営者
・経営者を叱咤しなかった株主
などで、やはり問題は企業人の在り方にあると考えられた。都立大宮本教授(労働経済学者)によれば、日本企業の病巣は「内向きCEOのもとに、会社は嫌いだが転職する気もなく自己啓発もしない従業員が集まった」ことである(*1)。
それでもそれなりの企業に就職したばかりの新入社員は、多少の不安は持ちながらこの企業で何ができるかと期待しているのだろうと思っていた。彼らをスポイルするのは、無能な経営者だろうと。
ところが、産能研の新入社員調査で、成果主義より年功序列を求める声が多くなったとの記事があって驚いた。

新入社員は成果主義より年功序列に回帰? 調査開始から36年で初めて逆転 「意識の保守化」と見なす前に企業が取り組むべきことは | AERA DIGITAL(アエラデジタル)
要するに、毎年行うこの調査で、
・2025年度では、年功序列を選ぶ人が56.3%、成果主義を選ぶ人が43.6%
・終身雇用を希望する割合は69.4%、同じ会社に長く勤めたい割合は51.8%
と新入社員の保守化が進んでいるという。調査に関わった人は、この傾向に驚いていた。学生時代からこれまで以上の情報を得て「企業の中は無気力な社員であふれている」ことを知ってしまったのかもしれない。もう一つ考えられるのは、新入社員の本音がもともと保守的で、調査に対していきがって見せていた先輩より、正直になったのかもしれないこと。
正直になったのなら、それはいいことだが、企業は「儲けてナンボ」である。ゲゼルシャフトが残る企業では、先行きは明るくない。戦う集団ゲマインシャフトになれば、成果主義やジョブ型雇用は当たり前のことである。
新入社員の本音がどうあれ、経営者がゲマインシャフトを目指していくなら、彼らの意識も変わるはず。新人をどう鍛え、戦力にしていくかは、経営者にかかっている。運悪く無能な経営者の企業に入ってしまったら、転職するか安住するかを新入社員は選べばよろしい。