梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

高給ブルーカラーという新しい階層

 先週紹介した中国通の友人は、中国の若者の就職難を、

 

・1,200万人も同時に大学を卒業してくる

・それほどの数の高度な雇用は存在しない

ブルーカラー職ではそれまでの教育投資が回収できない

・雇用環境が変わるまで職に就かない選択肢もあり、彼らは失業者に入らない

 

 と表現していた。いくつか原因の違いはあるが、米国でも若者の就職は厳しい。中国と違い景気は過熱気味なのだが、生成AIの登場がホワイトカラー雇用に大きく影響しているのだ。

 

ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討...AIで激変の雇用市場、収入減の「落とし穴」に注意?|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

 旧来は、ビッグテックの経営者や巨額の資金を操る投資家などを筆頭にした、このような階層があった。

 

        

 

1)高給ホワイトカラー

2)ホワイトカラー

3)ブルーカラー

 

 ホワイトカラーの業務はデジタル化することで高度化し、その中もいくつかの階層に分かれ、デジタル技術を使える度合いで差が広がっていった。そこに生成AIやAI-Agentが登場し、これまでデジタル化が困難と見られてきたブルーカラーの分野に変化が起きる。現場には出るのだが、使っているのはドローンやロボット。それらを操ることが出来るならそれは高度なブルーカラーで、デジタル技術を十分に使えていないホワイトカラー層を処遇の面で逆転できるだろう。

 

 ホワイトカラーも当然生成AIやAI-Agentの恩恵は受けるのだが、それは一部に留まり他のホワイトカラー職は消えていく可能性が高い。生き残った人たちは、高給ホワイトカラーの階層の下に位置するが、高度なブルーカラーと処遇面で差が出てこないかもしれない。これはすでに高給ブルーカラーと呼んでいい階層だ。

 

 現役時代、研究開発の能力が高いが企業の仕組みには関心の薄い先輩がいて「実験室で遊んでくる」と放言しておられた。彼の持論は「技術者はブルーカラーだ」というもの。同じ大学の技術系の後輩である私が、社内政治に染まっていくことへの警鐘だったかもしれない。彼こそは高給ブルーカラーにふさわしい人だったと思うが、そんな人たちを評価できる時代が来ることを私は歓迎したい。