梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

SNS時代、命に係わる暴言を裁く

 自殺した県議会議員を誹謗中傷したとして、NHK党立花党首が逮捕された。いわれのない嫌疑をSNSで発信して、いわゆる「犬笛」を吹いたとされる。SNS上に流れた言説を、面白半分か信じてか拡散した人が多く、県議は四方八方からの非難に晒されることになった。間接的にだが人一人の命を奪ったとされる事案で、容疑は名誉棄損罪。量刑は5年以下の拘禁か、50万円以下の罰金(刑法230条)である。

 

 あまりにも軽微な量刑なので、他の罪状は適用できないか調べてみた。

 

・侮辱罪 名誉棄損よりもさらに軽微

・脅迫罪 心身に危害を加えた事実は全くなく、適用不能

業務妨害罪 業務ではなく個人の名誉を侵害したので、適用不能

 

熱海警察署

 これでは、警察も検察も対応しようがなく、現在の罪状に落ち着いたのだろう。かつて、多くの人に影響を与えることができるのは、新聞・TVなどのメディアだけだった。しかし今は個人が、SNSでそれが出来るようになった。新しい時代の罪状を作る必要があると思われる。

 

 個人的な感触だが、本件は「未必の故意による殺人」ではないだろうか?ことによったら人が死ぬかもしれないと思って何らかの行為をし、その結果人が死ねば殺人罪に問われるというもの。立花容疑者が「こう言ってやれば相手が困って自殺するかも」と思っていたなら、理論上は成立するのでは?もちろんそんなことは証明できないから、現実的ではないのだが・・・。

 

 政治番組で有識者は「もっとプラットフォーマーがしっかりせねば」と口をそろえるのだが、ちゃんとしたSNSプラットフォームは、コンテンツモデレーションを実施しているし、政府も最終的に不適切な投稿者のアカウント停止を含む7段階の規制案(*1)を取りまとめ中だ。

 

 やはり真に危険な投稿をする人物については、投稿を禁じる以上の厳罰を与えられる法改正が求められる。

 

*1:コンテンツモデレーション(前編) - 梶浦敏範【公式】ブログ

  コンテンツモデレーション(後編) - 梶浦敏範【公式】ブログ