「接戦」と伝えられた米国大統領選挙、結果次第では内戦危機に陥るとの意見もあった。もしトランプ候補が敗れれば、かつての国会議事堂乱入事件を上回る暴動・騒乱が起きて、それが内戦に発展する可能性があるというものだった。
結果はトランプ候補が圧勝し、ハリス候補が早々に敗北宣言したので、当面そのような事態は起きそうもない。ただ、勝った側のトランプ支持者だろう、調子に乗りすぎて危うい行動を起こしている。
「綿花を摘め」全米の黒人に人種差別的なメッセージ トランプ氏当選後 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
かつての奴隷制度を思わせる、卑劣極まりない罵倒である。おそらく、多くのSNSなどデジタルメディアでこの種の誹謗中傷が流れているだろう。デジタルの拡散力が、負の方向に発揮された例である。FBIが捜査を始めたとの報道もあるが、いかに取り締まったところで穴(*1)は塞ぎようがない。世間の口に戸は建てられないのである。
当然、差別された側も反撃を考えるだろう。何らかの分断が激化することは間違いがない。米国には「Blue eyes, Brown eyes」という児童向け教育プロセスがあったと聞く。
・ある日教師が、青い眼が優等民族で、茶色い眼は劣等だと告げる
・一定期間差別的コンフリクトが起きたところで、教師は逆だったと言う
・両者が優等気分と劣等気分を味わったところで、教師が「差別はいけない」と諭す
素晴らしい教育だと思ったのだが、最近の米国はむき出しの差別意識だけが目立つ。トランプ新政権は「反移民」で、不法移民を強制送還すると言っている。ところが、この「不法」も定義が難しい。
すでに米国内に地歩を築いてしまった移民は(不法だったか否かを問わず)、トランプ候補により多く投票したようだ。自分はいいけど、後から来るのは困るとの「蜘蛛の糸」のような身勝手さに聞こえる。正々堂々「元不法移民」がトランプ候補を支持すると言った報道も見た。
米国に縁のある日本人の中には「私の好きだった米国はどこへ行った」と嘆く人も多い。分断が、別の形での内戦を導く可能性が出てきた。世界が事態を注視するゆえんである。
*1:<X>は事実上トランプメディアとなり、取り締まりは及ばない