SNSの情報拡散力が大きく、社会に与える影響が強すぎるとして、政権側がこれを禁止しようとすることはよくある(*1)。多くは特定のSNSについてなされる規制だが、今年夏のネパールでの政変では、反政府デモを煽るとして全てのSNSが規制された。その結果、Z世代を中心に大暴動が起きてしまった。結局2日間の暴動で、政権が崩壊している(*2)。
全てのSNSどころか、インターネットと通信サービスをほぼ全部止めてしまったのが、先月末のアフガニスタン。タリバン政権は「道徳的措置」だとして、この暴挙を断行した。シャリーアに照らすと、インターネットを経由して交換される情報は、反道徳的なものにあたるのだろう(*3)。

個人間のコミュニケーションが取れなくなっただけでなく、社会的な影響として、
・銀行業務の停止
・航空便の欠航
・医療や人道支援の麻痺
などが起きて大混乱になった。
アフガニスタンでインターネット復旧、タリバンによる遮断から48時間後 国民は歓喜 - BBCニュース
事態は48時間で収拾されたが、タリバン政権は市民に対して「いつでもインターネットを停めてやるぞ」と脅しをかけたように思う。具体的に何をやったのかというと、
1)通信事業者への事業停止命令
2)国際ゲートウェイの遮断
3)光ファイバー回線の物理的切断
などをしたらしい。通信も2Gのみは使えたようだが、2Gの回線速度なら情報の大規模な拡散はできないとの判断だったと思われる。タリバン政権の暴挙は、これ以外にも許せないことはあるのだが、冷静になってみると、
「インターネット遮断は、市民バッシングの手段に使えると同時に、他国への強力な攻撃手段でもある」
と気づいた。アフガニスタン以上にインターネット依存している日本社会でこれが起きたら・・・。電力と並んで、インターネット(&通信サービス)は「最」のつく重要インフラであることを思い知らされた事案だった。
*1:SNS規制相次ぐ、ではどうやるの? - 梶浦敏範【公式】ブログ