Global &Digital が私の20余年追い求めてきた政策テーマなのだが、世界中で反グローバリズムの動きが顕著になり、デジタルが急伸しすぎるとして批判も浴びて、ちょっと困った状況になっている。2010年代前半、
1)国境を渡るデータの自由
2)サーバローカライゼーションの禁止
3)ソースコード強制開示の禁止
をTPPの電子商取引章に入れ込んだ(*1)時が、ある意味ピークだったかもしれない。2018年にトランプ1.0政権がTPPから離脱、WTOの「上級委員」を任命せず空席にしてこの組織を非機能化させた。この問題については、2019年「日英21世紀委員会」に出席した私も議論に加わり、WTOの状況を知った(*2)。

中国が「Great Fire Wall」を国境に敷いてデータ流通を阻み、イランやロシアはインターネットすら遮断するようになっている。デジタル自由貿易は、崖っぷちまで追い詰められた印象だった。
そして先月のWTO閣僚会議でも、米国の反対で「WTO改革」は成らなかった。かろうじて残っていた「電子データ取引に関税をかけない」という規定も期限切れとなってしまった(*3)。これを補うため、有志国66ヵ国で新たな協定発効のための暫定枠組みを発表してくれた(*4)。「電子商取引に関する協定」というのがその名前で、
A)貿易書類の電子化等や電子決済の促進による電子商取引の貿易円滑化
B)電子的送信に対する関税賦課の禁止、政府データの公開等を通じた開かれた電子商取引の確保
C)サイバーセキュリティ、オンライン消費者保護等による電子商取引の信頼性向上などに関するルール
を本協定が発効するまでの間実施するという内容。上記の1)は入っているが、残念ながら2)3)は入っていない。中国などが反対したらしい。データ流通に関税を掛けないことを謳っているので、当然とはいえ米国は加盟していない。米国抜きの国際枠組みを、有志国で作っていくというのは、普通の流れになってきたようだ。
*1:デジタル貿易自由化への逆風 - 梶浦敏範【公式】ブログ
*2:WTO改革の要点 - Cyber NINJA、只今参上