梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

選挙のSNS規制を論じている時に・・・

 3兆円超で、2.5兆円が(現時点では使途の不明な)予備費という補正予算が、たった3日の国会審議で成立した。内容も期間も異例のことなのだが、その審議で一番多く報道されたのが、<文春砲>に関することだったのにも驚かされた。

 

 先の自民党総裁選や今年の総選挙で、高市陣営が対立候補や野党の中心人物を対象にしたSNSネガティブキャンペーンを張っていたのではとの疑惑である。高市議員の第一秘書が、候補者を貶める偽動画を作ったとされる人物に接触していたと<文春砲>が報じ、高市総理が否定すると証拠として2人がやり取りしていた音声データを持ち出していた。

 

雨にけぶる麻布台ヒルズ

「週刊誌、全く信用せず」 高市首相、秘書音声は不自然:時事ドットコム

 

 野党がこの点で(予算審議中に)総理に説明を求めると、総理は上記の記事にあるように応えた。自ら有料会員になってオンラインでデータを確認できないと言ったり、秘書は確認していないと要求を拒むなど、あまり誠実な答弁とは言えない。「週刊誌は信用できない」とする答弁には2つ大きな問題がある。

 

1)総理自ら国家としてのインテリジェンス能力強化を掲げていること

 インテリジェンスに関する情報収集の多くはOSINT(公開情報によるもの)である。敵対するメディアであっても、重要なソースであることに変わりはない。

 

2)選挙のSNS規制(*1)を国会で議論している最中であること

 SNS規制を議論している時に、与党の総裁がその対応に真摯に向き合っていないことは、国会軽視と見られても仕方のない状況。

 

 先日の英国の選挙にも、ロシア等からの工作があったかもしれない(*2)との疑念もある。日本の選挙を護るどころか、総理自ら工作をしている側だとしたら・・・との疑念を吹っ切るには、疑惑に正面から向き合っていただきたいと思う。

 

*1:選挙のSNS規制、与野党が5月に法案骨子とりまとめ 偽情報対策で - 日本経済新聞

*2:苦境のロシア、サイバー戦で抵抗 - 梶浦敏範【公式】ブログ