梶浦敏範【公式】ブログ

デジタル社会の健全な発展を目指す研究者です。AI、DX、データ活用、セキュリティなどの国際事情、今後の見通しや懸念をお伝えします。あくまで個人の見解であり、所属する団体等の意見ではないことをお断りしておきます。

安定した電力供給に向けて

 昨日紹介したように、AI時代になって大量の電力を喰うデータセンターは、立地地域で疎まれるようになってきた。AIが消費するエネルギーについては、こんなレポートがある。

 

AIの消費エネルギーは下がらない ~人間の脳とAIのエネルギー効率の根本的差異について~|澤村周平 | ShuheiSawamura

 

 生物の消費するエネルギーの中心はATP(アデノシン3リン酸)で、何億年もかけてきわめて効率的なエネルギー消費体系を作り上げたとある。ざっくり、人間対AIのエネルギー消費量は、1対1,000なのだそうだ。CO2排出量についても、人間はほぼゼロなのに、GPT-3では502トンも排出するとの資料(*1)もあった。

 

 直接的に「温暖化防止のためAI利用を禁止せよ!」という論説は見られないが、環境問題に向き合っている人の中には、AIにネガティブな感情を持っている人もいるだろう。

 

バナナワニ園のハイビスカスとエアープラント

 そこでふと気づいたのだが、この夏の猛暑では「節電に努めてください」という政府広報はなかった。まだ続くこの暑さの中で、そういわれたらげんなりしていただろうと思うと、電力が足りたことには感謝しかない。

猛暑でも節電要請なし 原発・太陽光で供給増、地域間融通も拡大 - 日本経済新聞

 

 結局電力各社が原子力自然エネルギー(を溜める電池等)の設備を稼働/設置させてきた努力が功を奏したわけだ。原子力発電には多くの批判があるが、一方の自然エネルギーについても、環境問題や不安定さという悩みがある。4月に起きたスペイン・ポルトガルのブラックアウトは、自然エネルギー比率を高め過ぎたことによるとの説もある(*2)。

 

 ロシアがウクライナの電力設備にドローン等で攻撃をかけているように、電力は近代社会の根幹である。これが失われれば、人命も危ぶまれる。電力各社や政府には、より積極的なエネルギー安全保障政策を望みたい。

 

*1:【図解】コレ1枚でわかるAIと人間の知能の違い・効率:ITソリューション塾:オルタナティブ・ブログ

*2:ブラックアウトと再エネ比率問題 - 梶浦敏範【公式】ブログ