国際情勢・市場
イスラエルはIntelligence能力の高い国家であり、サイバー空間での存在感も大きい。日本でも多くのイスラエル製ソフトウェアが、特にサイバーセキュリティ分野で利用されている。イスラエルの企業と私自身交流があり、一度は関連企業が集まる「電脳都市Be'er…
先月、インドネシアの国立データセンターがサイバー攻撃を受け、200ほどの政府機関の業務が停止した。攻撃したのは「LockBit3.0*1」から分派したと思われる「Brain Ciper」という集団。ランサムウェアによってデータを暗号化したとして、復旧するためには800…
後進国は、先進国が苦労して(時間をかけて)発展させてきた技術を、さまざまなハードルはあるにせよ導入し、安価な労働力を投入して世界経済の中では優位を得る。これが「後進優位」という考え方。現在の米国に迫るGDPを得た中国経済は、その典型的な例であ…
安全保障がらみでは「日本の(サイバー空間を含む)Intelligence能力が低い」と酷評されていることは、何度か紹介している。その分野での改善努力も進んでいることは知っているが、もっと顕著に存在感を示している分野もある。 安全保障と不可分だが、担当機…
今回国際情勢、特に米国の動向について詳しい政策研究者と議論する機会があった。この人は、米国のシンクタンクにも10年ほど在籍し、昨今の米国の混乱ぶりもあって時々TV番組にも出演している。始めのうちは、大統領選挙の話題が中心。 ・共和党は親イスラエ…
尖閣諸島をめぐるリアルな衝突だけでなく、サイバー空間を使った諜報活動や妨害工作、技術窃取などの疑いがあり、中国とは距離を取るべきだとの意見が日本産業界には根強い。数年前に亡くなったJR東海の葛西会長は、決して新幹線の中国輸出を認めなかった。…
今日は米国の独立記念日だ。2日前に、在日米国商工会(ACCJ)の独立記念日パーティに参加して、久しぶりに在日米国企業の人たちと話し合うことができた。付き合いの深いデジタル産業は、基本的に民主党支持だ。先日のバイデン対トランプの公開討論会をどう…
フランスの総選挙は、まだ途中ではあるがマクロン大統領の中道派の退潮は明らかになった。英国の総選挙でも、保守党の下野は既定路線としても、ポピュリストのファラージ党首率いる<リフォームUK>が存在感を示しているのが悩ましい。 私自身は21世紀になる…
世界的な軍事費急増を背景に、軍事テックベンチャーが続々登場している。先日ドイツの秘密主義ユニコーン「Helsing」を紹介(*1)したが、今回は米国企業。 秘密の「電子戦兵器開発」スタートアップCX2、a16zなどから資金調達 | Forbes JAPAN 公式サイト(フ…
東京都知事選が告示されて、先の東京15区衆議院議員補選以上のひどい戦いが予想される。N国党は24名もの候補者を擁立、1.4万箇所のポスターに自由なものを貼る権利を販売しているという。33.6億枚のポスターは、どうなってしまうのだろうか?例えばQRコード…
戦争というものは膨大な資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を喰う。地球のあちこちで紛争が起きたり緊張が高まったりしているから、各国の軍事費が増えるのは当然のこと。2023年の世界中の軍事費は、過去最高の2.4兆ドルに上った(*1)という。 その(軍事リソ…
日本より一足先に、政権交代の可能性のある選挙に突入した英国。与党保守党は、18歳からの徴兵制度復活(*1)や年金受給者への減税などを打ち出して、これまでの、 ・環境問題への取り組み減速 ・不法移民の強制出国 政策などと合わせて支持拡大を狙っている…
寡聞にして、国際刑事裁判所(International Criminal Court:ICC)という機関があって、容疑者を指名手配することができることは知らなかった。国際刑事警察機構(International Criminal Police Organization:ICPO)は各国警察の調整・連絡機関で、実効的…
先の週末、4年半ぶりになる日中韓三ヵ国による首脳会談があった。この間に、出席する首脳すべてが入れ替わっている。そしていずれの国も、大きな社会課題を抱えている。 ・少子高齢化 ・不動産高騰 ・格差拡大 などで、国民の不満が高まっているという共通…
ではCBPRの現在位置はというと、これまでにAPEC参加国&地域21のうち9国・地域(*1)がCBPRシステムに参加している。日本ではJIPDECがアカウンタビリティ・エージェントに指定されていて、2016年から認証活動をしている。エージェントは現在7団体あり、認…
「ヒト・モノ・カネ&情報の自由な流通」は、経済発展に寄与する。これは経済がグローバル化した今では、より重要となった真理である。特にデジタル社会では、情報の流通は飛躍的に増している。しかし流通が安全に行われることは必要条件で、特に個人情報と…
「COVID-19」禍の前から、米国などのテック企業ではテレワークが盛んだった。一部企業では「やっぱり週3日は出社せよ」などと揺り戻しているが、例えばサンフランシスコのビジネス街に通えるエリアの住居費が高騰していて、テレワークでないと勤務できない…
太平洋に今も残るフランス領ニューカレドニア。大航海時代の遺物のようなものだが、30年間は平穏だった。しかし今年になって1.7万キロ離れたフランス議会で「ニューカレドニア憲法を改正し、フランス人住民の投票権を拡大」する法案が審議されている。これに…
円安ドル高が止まらない。日本政府が市場介入して、一度二度と急激に円高(1ドル=150円くらい)に振れたが、しょせん一時的なこと。日米の金利差が5%もあるようでは、誰だって円売り・ドル買いをするだろう。 1ドル=80円くらいの時代を知っていて、海…
中国人民解放軍は、5つの戦区(東・西・北・南・中部)に統合作戦指揮機構があり、陸軍・海軍・空軍・ロケット部隊が統合運用される仕組みになっている。実戦力である4軍種の他に、2つの支援部隊「戦略支援部隊」「中央軍委聯勤保障部隊」がある。 今月、…
今月に入って、米国のイエレン財務長官、ドイツのショルツ首相が中国入りし、習主席らと会談をしている。中露vs.欧米というイデオロギー対立は、正直大きな問題ではなく各国共足元の経済をどうするかに着目している証拠だ。会談の目的については、中国からの…
先週、日本にセキュリティ・クリアランス(SC)制度を導入する「重要経済情報保護及び活用に関する法律案」が衆議院を通過し、参議院に送られた。この制度に関しては、私も2年ほど研究してきて、 ・機密情報を、例えば重要インフラのサイバー防御に使うため…
何度か、中国企業バイトダンスが提供するSNSアプリ<TikTok>の危険性について紹介してきた。公表されないデータも含めて、利用者の情報は習政権に筒抜けになる(*1)と思っておくべきだし、偽情報拡散の道具に使われたり、場合によってはサブリミナル映像を…
中国企業は共産党政権からの要請があれば、自社が保有するデジタルデータを提供しなくてはならない。習政権はサイバー空間にも中国の国家主権があると主張し、国家統制を強化する政策を2010年代に次々と打ち出した。そのひとつが、この法律「国家情報法」で…
ガザ地区の状況は、飢餓などは一層深刻になっているが、イスラエル軍の攻撃はやや緩和されているようだ。避難民がひしめき合っているラファ侵攻は行われず、イスラエル軍はガザ南部から撤収しているとも伝えられる。これは明らかに、NGOの<World Central Ki…
マグネチュード7.7とは、かなり大きな地震だった。震源地は台湾島東部のすぐ沿岸、花蓮県では12人ほどの犠牲者が出たという。年初の能登半島地震もマグネチュード7.6だったから、ほぼ同じ規模。しかし能登半島地震で245名もの犠牲者が出たのに比べると、人的…
昨日、サイバー攻撃による一次被害・二次被害・企業ブランド棄損の連鎖について紹介したが、先月のボルチモア港の衝突&橋崩落事故でも、似たような連鎖があり得ると思った。 事故原因は、電源異常によりコントロールを失った船が橋脚に激突したもの。サイバ…
国レベルの政府・行政機関の役割として重要なのは、社会福祉政策でも産業政策でもない。まずは防衛・外交・収税・通貨である。このうち収税以外の3項目は、直接票につながらないので、政治家には重要視されないという問題がある。ただ税金に関しては、有権…
中国で注目の「全人代」が閉幕したが、経済の低迷を受けてかやや変調らしい。最終日に行われる首相のメディア対応も、今回は行われなかった。市民も生活防衛を進めていて、高級品市場が縮小。大きな売り上げを揚げていた日本の化粧品メーカーも、苦戦してい…
昨日に続いて、米国の「TikTok」規制のお話。トランプ候補の擁護発言(*1)にもかかわらず、下院では、中国系企業「バイトダンス」に半年以内の売却を命じる規制法案が、352対65の圧倒的多数で可決成立した。まだ上院でどうなるかは分からないが、可決されれ…