国際情勢・市場
今年もイアン・ブレマー<ユーラシアグループ>が、世界の10大リスクを公表(*1)した。 1位 米国の分断 2位 瀬戸際の中東 3位 ウクライナの事実上の割譲 4位 AIのガバナンスの欠如 5位 ならず者国家の枢軸 6位 経済回復できない中国 7位 重要鉱物の…
昨年末、中国の習政権がオンラインゲーム規制案を公表するや、テンセントなど関連企業の株価が急落した。約11兆円の時価総額(*1)が吹き飛んだとする報道もあった。たかがゲームなのだが、スマートフォンとインターネットが当たり前の中国では、非常に重要…
もう1社は、グローバルでその種のコンシューマ品ではシェア1位の大企業。その日本法人の人が、ガバナンスされる側のことを話してくれた。欧州ドイツ語圏に本社のあるその企業にとって、日本市場は「One of Them」。世界を5ブロックに分けたうち、オースト…
先週の日銀政策決定会合に、多少の期待はしていたのだが、結局裏切られた。政策金利は「ゼロ金利」のまま据え置かれてしまった。せっかく米欧の中央銀行が政策金利上げをしないで円高傾向になっていたのに、1日で2円ほど円安が進んでしまった。 円が安いと…
「核兵器よりも人類の脅威になるかも」と考えられ始めたのがAI兵器。特に自律型致死兵器システム(LAWS)の規制については、国連のグテーレス事務総長が今年末までに専門機関を設立し、2026年ころには法的拘束力のある「AI兵器禁止規定」を安保理で取りまと…
まだ数百機が現役でいるし、生産終了は2026年とまだ先なのだが、ようやくMV-22オスプレイの生産終了が決まった。初飛行以来「未亡人製造機」と陰口を叩かれるほど、事故に見舞われた機体である。先日も屋久島沖に墜落、乗員の遺体回収が進んでいるが、当面世…
デジタル産業は飛躍的な技術発展によって、急激な成長を続けている。もちろん競争は激しくその時々でHOTな分野は異なるが、産業全体としてはずっと右肩上がりである。今HOTな分野といえば「AI事業」だが、現時点ではまだ投資の方が圧倒的に大きく、将来期待…
昨日、英国王立防衛安全保障研究所の人が訪ねてきたことを紹介したが、今日は経団連の会合に危機管理学部の教授と、公安調査庁の部長を招いた会合に参加した。教授は英国の情報管理の状況を説明し、部長はこの1年日本に加えられたサイバーリスクを総括して…
1週間前にメールが入り、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI*1)の研究フェローが会いたいといって来た。オンライン会議かと思ったら、サイバーセキュリティの国際会議で来日していて、その期間にどこかで会えないかというものだった。 日時を決めて、オフィ…
「減税」と総理は言うが、市民は「いつメガトン級の増税が来るか」と戦々恐々である。財政健全化はもちろん必要なのだが、無駄遣いの削減が増税より先なのは言うまでもない。なのに「COVID-19」禍で急増した基金が、16.6兆円も積み残されていることが分かっ…
先週、アラブ首長国連邦(UAE)の首都ドバイで開催されたCOP28に出席した岸田総理は、エジプトのシシ大統領と会談し最大2億3,000万ドルの支援をすると約束した。イスラエルのガザ攻撃によってパレスチナの人達の苦悩を救うキーとなるのはエジプトだし、他に…
経団連の、というより十倉会長の発言に関し、メディアが冷たくあたることが多くなった。例えば、 経団連会長が「岸田支持!」「消費増税せよ!」と叫ぶ裏にある、輸出大企業と政府との「国民生活度外視の共犯関係」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース のよう…
先週、米国東海岸カリフォルニア州は大忙しだった。APECの首脳会合が開かれたが、それに合わせた日程で、多くの外交交渉が持たれたからだ。世界が最も注目したのは、1年ぶりの米中首脳会談。東欧や中東で紛争が激化していて、南シナ海や台湾海峡の緊張も高…
大学教授は産業界から政府を動かせといい、シンクタンク研究員はこういう安全保障環境を知って欲しいと言った。御二人の提案に異論はないのだが、参加者の顔色(当惑?)を見て、一言言っておく必要があると手を挙げた。 ・今日はサイバー空間の話だが、それ…
続いて説明に立ったのは、シンクタンクの上席研究員。民間人だが政府の安全保障期間への出向経験があり、今も某機関を兼職している。日本には民間人も対象としたセキュリティ・クリアランス制度はまだなく議論途上だが、公務員を対象とした機密保持に関する…
この日は、経団連会館でサイバーセキュリティの関連会合。テーマは「安全保障の中のサイバーセキュリティ」で、この分野が専門の大学教授とシンクタンクの上席研究員がゲストスピーカーである。 一般企業では、産業界のサイバーセキュリティ振興や、産業政策…
東欧に続いて中東でも火の手が上がり、リアル空間での戦闘も激化しているが、見えないサイバー空間での戦闘も同様に激化しているはずだ。リアル空間ではそれなりの法規制、条約等の枠組みがあるが、サイバー空間ではそれも乏しい。紛争当事国以外も比較的自…
先週、英国で「AI Safety Summit」が開催された。ウクライナ紛争・中東危機・台湾海峡の緊張などで、グローバリズムは終わったと言う有識者もいるが、国境のないサイバー空間が経済社会に占める比重が飛躍的に増えていて、国境を閉ざすことの意味は小さくな…
イスラエルが闘っている相手は、テロリストとしての<ハマス>なのだが、<ハマス>はイランからの支援を受けなければ存続できていない。レバノンにいてイスラエル北部を脅かしている武装組織<ヒズボラ>同様、イランがイスラエルに向けた「刺客」と考える…
ロシアのウクライナ侵攻にあたっては、侵攻前からロシアのサイバー攻撃がウクライナの社会インフラなど重要施設に向けられていた。被害は出たものの、巨大IT企業の助けを借りたウクライナ政府は、 ・電子政府の疎開 ・政府システム等の(ウイルスの)チェッ…
強硬なイスラエルの、特にネタニヤフ首相が就任して以降のパレスチナへの圧力は確かにひどい。しかし抵抗運動とは言っても、5,000発ものロケット弾を撃ち込み、壁を越え空から、海から同時に侵入して民間人を虐殺し、200人あまりの人質を攫ったハマスの暴挙…
かつては、家庭に朝刊が配られ、サラリーマンは通勤途上でスポーツ紙を読み、帰宅すれば奥さんが夕刊を広げている・・・そんな日常があった。しかし今では、全国紙の雄だった朝日新聞ですら部数を減らし続けている。市民の多くがネットメディアに拠り、新聞を読…
Huaweiの最新型スマートフォンについて、西側諸国では「信じられない」との声が出ている。少なくともハードウェアについては、Apple社のものと遜色がないと評価される。特に7ナノ級の技術を使った半導体が採用されていることに、関係者が驚きを隠さない。 …
いわゆる「フェイクニュース」が続々現れ、デジタルメディアを通じて世界中に拡散してゆく。単なる言葉の「嘘」でも、社会に大きな影響を与えることがあるのに、今はより信じられやすい映像の形で広がっていくのが恐ろしい。 かつてボスニア・ヘルツェゴビナ…
この日は久しぶりに経団連会館にやってきて、外務省のサイバー大使/審議官の話を聞くことができた。大使は「日本のサイバー外交」と題して講演。国家安全保障戦略中にサイバー分野が盛り込まれたこと、通信の秘密(憲法21条)がある中で日本としてどのよう…
中東情勢が一気に緊張した。1週間前のハマスのロケット攻撃に始まり、イスラエル軍のガザを空爆。ハマスは外国人を含む100名以上の人質を取り「空爆すれば人質を殺す」と脅迫した。米国が直ちに「イスラエルと共にある」と宣言したのは当然として、英仏独(…
ある政治討論番組で「なぜ日本経済は低迷しているのか?」が議論されるシーンがあった。よくあるテーマだが、議論していくうちに、 ・アメリカの陰謀にやられた ・不良債権処理を誤った ・画一化された教育が良くない などととっちらかってしまうのが常であ…
今年は、日本とASEANの交流開始から50周年にあたる。さまざまなイベントが企画されているとのことだが、この日は「日ASEANサイバーセキュリティ官民共同フォーラム」に参加するため、旧知の<明治記念館>にやってきた。もともとは明治憲法の草案を練った施…
日本ではGDP比2%の防衛費に向けた議論が進んでいるが、もしそうなると世界で3位の軍事(大)国に位置付けられるという。そんな国が「戦力不保持」を憲法に謳っているのはどう考えてもおかしいので、憲法改正の議論は必要だと思う。日本が「議論」の段階を…
拒否権を持つ常任理事国であるロシアが、自ら紛争当事国になったことで、より一層無力感が深まっているのが国連の安全保障理事会。しかし国際紛争の解決に向けた、全世界的な活動機関としてはここしかなく、無駄とは分かっても議論を続けなくてはいけないの…